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エンジニア必見!SES契約書『禁止事項』徹底解説とトラブル回避の鉄則

SES契約書の禁止事項、エンジニアとして知るべきポイントを徹底解説。競業避止義務、秘密保持から損害賠償まで、契約トラブルを回避し、安心して働くための知識を身につけましょう。

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SES契約書における「禁止事項」とは?なぜエンジニアが知るべきか

「SES契約書、ちゃんと読まずにサインしてしまった…」

あなたは今、そんな不安を抱えていませんか?多くのエンジニアは、技術的な業務に集中するあまり、契約書の内容を深く確認しないまま契約を結んでしまいがちです。

しかし、SES契約書に記載されている「禁止事項」は、あなたのキャリアや働き方に大きな影響を与える可能性があります。知らなかったでは済まされない事態に陥る前に、この記事でSES契約書の禁止事項について体系的に理解し、トラブルを未然に防ぐための知識を身につけましょう。

準委任契約と請負契約の違いから理解する禁止事項の背景

SES契約の多くは「準委任契約」の形式を取ります。これは「特定の業務を行うこと」を目的とし、成果物の完成を約束する「請負契約」とは根本的に異なります。

準委任契約では、エンジニアは労働時間に対して報酬を受け取り、指揮命令は発注元からではなく所属企業(または自身)にあります。しかし、発注元の機密情報に触れる機会が多いため、情報漏洩や競合他社への情報流出を防ぐための「禁止事項」が契約書に盛り込まれるのが一般的です。

これらの禁止事項は、発注元の企業秘密を守るだけでなく、エンジニア自身の行動を制限し、将来的なキャリアパスにも影響を与える可能性があるため、その内容を正確に理解することが極めて重要です。

禁止事項がエンジニアにもたらすリスク

SES契約書に記載された禁止事項を軽視すると、以下のようなリスクに直面する可能性があります。

  • 高額な損害賠償請求: 秘密情報の漏洩や競業避止義務違反は、企業に甚大な損害を与えるため、多額の賠償を求められることがあります。
  • キャリアの制限: 競業避止義務により、特定の業界や企業への転職が一定期間制限される可能性があります。
  • 信頼の失墜: 契約違反は、企業からの信頼を失い、今後の案件獲得やキャリア形成に悪影響を及ぼします。
  • 法的トラブル: 最悪の場合、訴訟問題に発展し、精神的・金銭的な負担を強いられることになります。

これらのリスクを避けるためにも、契約書の内容を正しく理解し、不明な点は必ず確認する姿勢が求められます。

特に注意すべきSES契約書の禁止事項【具体例と対策】

ここからは、SES契約書で特にエンジニアが注意すべき禁止事項について、具体的な内容と対策を解説します。

秘密保持義務(NDA)

秘密保持義務(NDA: Non-Disclosure Agreement)は、SES契約において最も重要かつ一般的な禁止事項の一つです。発注元の企業秘密や顧客情報を外部に漏らさないことを約束するものです。

どこまでが秘密情報か?

契約書には「秘密情報の定義」が明記されています。例えば、「営業秘密、技術情報、顧客情報、人事情報、未公開の事業計画、ノウハウなど、書面、電子媒体、口頭その他形態の如何を問わず開示された一切の情報」といった広範な定義がされていることが多いです。

対策: 曖昧な場合は具体的にどこまでが秘密情報に該当するのか、開示元に確認しましょう。また、私的なメモやSNSでの発信も注意が必要です。

退職後の期間は?

秘密保持義務は、契約期間中だけでなく、契約終了後も一定期間継続することが一般的です。「本契約終了後〇年間」と期間が明記されていることが多いので、必ず確認しましょう。

対策: 契約終了後も、そのプロジェクトで得た情報や知識を安易に他社で利用したり、第三者に話したりしないよう細心の注意を払いましょう。

違反した場合のリスク

秘密保持義務違反は、企業の信用失墜や経済的損失に直結するため、損害賠償請求の対象となる可能性が高いです。また、場合によっては不正競争防止法などの法律に抵触する可能性もあります。

対策: 秘密情報に触れる際は、常に「これは外部に話してはいけない情報だ」という意識を持つことが重要です。社内規定やプロジェクトルールも遵守しましょう。

競業避止義務

競業避止義務とは、契約期間中または契約終了後一定期間、発注元と競合する事業に従事することを禁止する条項です。特にフリーランスエンジニアや、将来的に独立を考えているエンジニアは注意が必要です。

期間、地域、対象業務の範囲

競業避止義務の有効性は、その「期間」「地域」「対象業務」の範囲が合理的であるかどうかが判断基準となります。例えば、「契約終了後5年間、日本全国でIT関連業務全般に従事してはならない」といった過度に広範な条項は、無効となる可能性もあります。

対策: 契約書でこれらの範囲が具体的にどこまで定められているかを確認しましょう。あまりに広範な場合は、交渉の余地があるかもしれません。

フリーランスエンジニアは特に注意

フリーランスの場合、複数のクライアントと契約するケースが多いため、競業避止義務が足かせとなることがあります。特に、同業他社からの案件を受けることができなくなる可能性を考慮する必要があります。

対策: 契約締結前に、現在受注している案件や今後受注を検討している案件との競合関係がないか確認し、必要であればクライアントと事前に相談しましょう。

正当な対価の有無

判例では、競業避止義務が有効とされるためには、義務を負う側(エンジニア)に対して「正当な対価」が支払われているかどうかも考慮されることがあります。例えば、退職金の上乗せや特別な手当などです。

対策: もし競業避止義務があるにもかかわらず、特別な対価がない場合は、その合理性について慎重に検討する必要があります。

成果物・著作権の帰属

エンジニアがプロジェクトで開発したソースコード、設計書、ドキュメントなどの「成果物」に関する著作権や所有権の帰属についても、SES契約書で明確に定められています。

開発したコードやドキュメントの権利

通常、SES契約では、エンジニアが開発した成果物の著作権は発注元に帰属すると定められています。これは、発注元がその成果物を自由に利用、改変、配布できるようにするためです。

対策: 自分が開発したコードであっても、契約で権利が発注元に帰属すると定められていれば、勝手に持ち出したり、他のプロジェクトで流用したりすることはできません。特に個人で開発したライブラリやツールを業務で利用する際は、事前に権利関係を確認しましょう。

持ち出しや二次利用の制限

成果物だけでなく、開発中に作成した中間生成物やテストデータなども、契約の対象となる場合があります。これらを無断で複製、持ち出し、または二次利用することは禁止されます。

対策: プロジェクトで使用したデータやコードは、プロジェクト終了時に適切に返却または削除し、個人的な利用は避けましょう。

損害賠償責任

契約違反や業務上の過失によって発注元に損害を与えた場合、エンジニア(または所属企業)がその損害を賠償する責任を負うことがあります。これも重要な禁止事項の一つです。

責任の範囲と上限

損害賠償の範囲や上限額が契約書に明記されていることがあります。「本契約の報酬額を上限とする」といった形で、責任を限定する条項があれば、想定外の高額な賠償リスクを軽減できます。

対策: 損害賠償の条項は必ず確認し、責任の範囲が不当に広すぎないか、上限額が設定されているかを確認しましょう。もし上限額が設定されていない、または過度に高額な場合は、交渉を検討すべきです。

重大な過失、故意の場合

多くの場合、軽微な過失による損害には上限が設けられますが、重大な過失や故意による損害については、上限が適用されないことがあります。これは、悪意のある行為に対しては、全額賠償を求めるのが当然という考え方に基づきます。

対策: 業務中は常に細心の注意を払い、故意に契約違反となる行為や、重大な過失に繋がるような行動は絶対に避けましょう。

契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)との関連

請負契約では「契約不適合責任」が問題になることがありますが、準委任契約であるSESでは、基本的に成果物の完成責任は負いません。しかし、善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)を怠った結果、発注元に損害を与えた場合は、損害賠償責任を問われる可能性があります。

対策: 自身のスキルや経験に見合った業務を遂行し、常にプロフェッショナルとしての責任感を持って業務にあたりましょう。

情報持ち出し・個人情報に関する禁止事項

顧客情報や社内資料、開発環境へのアクセス制限など、情報セキュリティに関する禁止事項も多岐にわたります。

顧客情報、社内資料、開発環境へのアクセス制限

プロジェクトで扱うデータは、機密性の高いものがほとんどです。これらの情報へのアクセスは厳しく制限され、許可なく参照したり、コピーしたりすることは固く禁じられています。

対策: 業務に必要な範囲でのみ情報にアクセスし、許可されていない情報には触れないようにしましょう。アクセスログが残ることを常に意識してください。

USB、私用デバイスの利用制限

情報漏洩のリスクを避けるため、プロジェクト環境でのUSBメモリや私用スマートフォン、PCの使用が禁止されている場合があります。また、業務データを個人のクラウドストレージに保存することも禁止されることが多いです。

対策: プロジェクトのセキュリティポリシーを遵守し、指示されたデバイス以外は使用しない、データの持ち出しは許可された方法以外では行わないなど、厳格な運用を心がけましょう。

多重契約の禁止(フリーランス向け)

フリーランスエンジニアの場合、複数のクライアントと並行して契約を結ぶ「多重契約」が禁止されることがあります。これは、特定のプロジェクトへの専念を求めたり、競合他社への情報流出を防いだりする目的があります。

対策: 現在の契約で多重契約が禁止されていないか確認しましょう。もし禁止されている場合は、他の案件を受けることができないため、契約期間中の報酬や稼働時間を慎重に検討する必要があります。

SES契約書を読み解く際のエンジニア向けチェックリスト

SES契約書は、あなたの働き方を規定する重要な書類です。以下のチェックリストを活用し、契約締結前にしっかりと内容を確認しましょう。

契約締結前の確認ポイント

  • 秘密保持義務: 秘密情報の定義、契約終了後の期間、違反時の罰則は明確か?
  • 競業避止義務: 期間、地域、対象業務の範囲は合理的か?正当な対価の記載はあるか?
  • 成果物・著作権: 開発した成果物の権利はどこに帰属するか?持ち出しや二次利用は禁止されているか?
  • 損害賠償責任: 責任の範囲と上限額は明確か?重大な過失や故意の場合の扱いは?
  • 情報セキュリティ: 情報持ち出し、私用デバイスの利用、個人情報の取り扱いに関する規定は?
  • 多重契約: フリーランスの場合、他の案件の受注が制限されていないか?
  • 契約期間・報酬: 期間、報酬額、支払い条件は明確で納得できるか?
  • 契約解除条件: どのような場合に契約が解除されるか?

不利な条項があった場合の交渉術

もし契約書の中に不利だと感じる条項や、不明瞭な点があった場合は、遠慮せずに交渉を検討しましょう。

  1. 具体的にどの条項が問題か整理する: 「〇条の△△について、期間が長すぎる」「□□の定義が曖昧で不安」など、具体的に指摘できるように準備します。
  2. 代替案を提案する: 一方的に拒否するのではなく、「期間を〇年に短縮できないか」「定義をもう少し具体的にできないか」といった代替案を提示すると、交渉がスムーズに進みやすいです。
  3. 書面で記録を残す: 交渉の経緯や合意内容は、メールなどの書面で残しておくことが重要です。

困ったときの相談先

「一人で契約書を読み解くのは難しい」「交渉がうまくいかない」と感じたら、一人で抱え込まず、専門家に相談しましょう。

  • 所属企業の法務部門: 正社員の場合、まずは自社の法務部門や担当者に相談するのが一般的です。
  • 弁護士: フリーランスの場合や、企業が対応してくれない場合は、法律の専門家である弁護士に相談するのが最も確実です。契約書レビューサービスなどを利用するのも良いでしょう。
  • 労働基準監督署: 労働条件に関する問題であれば、労働基準監督署に相談することも可能です。

よくある質問(FAQ)

Q1: SES契約書にサインする前に弁護士に相談すべきですか?

A: 契約内容に不安がある場合や、特にフリーランスで高額な案件や長期契約を結ぶ場合は、弁護士に相談することをおすすめします。専門家によるレビューで、潜在的なリスクを発見し、安心して契約に臨むことができます。

Q2: 秘密保持義務は退職後もずっと続くのでしょうか?

A: いいえ、通常は「本契約終了後〇年間」といった形で期間が明記されています。ただし、企業の営業秘密として保護されるべき情報(不正競争防止法に規定される情報)については、期間の定めに依らず、その秘密性が保たれる限り保護義務が続く場合があります。

Q3: 競業避止義務がある場合、転職先の選択肢は限られますか?

A: 契約内容によります。期間、地域、対象業務の範囲が限定的であれば、その範囲外の企業や業界であれば問題なく転職できます。しかし、範囲が広すぎる場合は転職先の選択肢が大きく制限される可能性があります。不安な場合は、具体的な契約内容を持って専門家に相談し、転職活動の方向性を確認することをおすすめします。

まとめ

SES契約書における「禁止事項」は、エンジニアのキャリアと働き方を守る上で非常に重要な要素です。秘密保持義務、競業避止義務、成果物の権利帰属、損害賠償責任など、多岐にわたる項目を理解し、契約締結前にしっかりと確認する習慣を身につけましょう。

不明な点や不利だと感じる条項があれば、一人で判断せず、所属企業の担当者や専門家である弁護士に相談する勇気を持つことが、あなたの身を守る最善策です。この記事が、あなたが安心してエンジニアとしてのキャリアを築くための一助となれば幸いです。

職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手

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