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SESの商流飛ばしはバレる?危険な理由と高単価に近づく安全な方法

SESの商流飛ばしは本当に危険なのか。バレる理由、契約違反や引き抜きとの違い、退職後でも注意すべき点、会社員SESがやってはいけない行動を整理します。商流を無理に飛ばすのではなく、エンド直・一次請け・高還元SESなど、高単価に近づくための安全なキャリア戦略まで解説します。

SESで働いていると、ふとこんな疑問を持つことがあります。

「自分はそれなりに動いているのに、なぜ給料はここまで上がりにくいんだろう」

「顧客が払っている単価と、自分の給与の差が大きすぎないか」

「間に何社も入っているなら、商流を飛ばした方が早いのではないか」

こうした違和感は、決してあなただけのものではありません。SESでは、エンド企業と自分の所属会社の間に、元請け・二次請け・三次請けのような会社が入ることがあります。商流が深くなるほど、自分の単価や評価が見えにくくなり、「商流飛ばしをすれば年収が上がるのでは」と考えたくなるのは自然です。

ただし、ここで注意したいのが、「商流を飛ばせば全部解決する」と考えるのは危険だということです。

今の会社に所属したまま、間にいる会社を抜いて取引先と直接契約しようとする行動は、現実的なキャリア戦略とは言いにくいです。契約面のトラブル、信用低下、所属会社や取引先との関係悪化につながる可能性があります。

本当に狙うべきなのは、無理に商流を飛ばすことではありません。狙うべきなのは、次の環境で商流を短くすること、そしてより直接評価される立場へ移ることです。

この記事では、SESの商流飛ばしとは何か、なぜ危険と言われるのか、違法性や契約違反との違い、バレやすい理由、高単価に近づくための現実的な方法を整理します。

SESの商流飛ばしとは何か

SESの商流飛ばしとは、簡単に言うと、現在の案件で間に入っている会社を抜いて、上位会社やエンド企業と直接契約しようとする行為です。

たとえば、次のような商流があるとします。

  • エンド企業
  • 元請け
  • 二次請け
  • 三次請け
  • あなたの所属会社
  • あなた

この状態で、あなたや所属会社が、二次請け・三次請けなどを抜いて元請けやエンド企業と直接契約しようとする行動が、一般的に「商流飛ばし」「商流抜き」「抜き行為」と呼ばれます。

ここで大事なのは、商流を短くすること自体が悪いわけではないという点です。

問題になりやすいのは、すでに成立している取引関係を利用して、間にいる会社を無断で外そうとすることです。

たとえば、次の2つはまったく意味が違います。

行動

問題になりやすさ

考え方

今の案件で、所属会社や中間会社を無断で抜いて直接契約を打診する

高い

商流飛ばしとしてトラブルになりやすい

転職活動で、最初からエンド直・一次請け企業を選ぶ

低い

正常なキャリア選択

フリーランスとして、最初から直請けやエージェント経由の案件を探す

低い

新しい取引として成立するなら問題になりにくい

自社に案件変更や単価交渉を相談する

低い

社内の正規ルートでの改善

取引先担当者に個人的に「直接契約しませんか」と持ちかける

高い

信用問題・契約問題になりやすい

つまり、この記事で扱う「商流飛ばし」は、単に商流が短い案件を目指すことではありません。

今の取引関係をショートカットして、間の会社を無断で外そうとする行動を指します。

SESで「商流を飛ばしたい」と感じるのは自然

SESエンジニアが商流を意識し始めるきっかけは、だいたい似ています。

  • 顧客先では忙しいのに、年収が伸びない
  • 自分の単価を知って、給与との差に驚く
  • 現場で評価されても、自社の評価に反映されにくい
  • 三次請け、四次請けのような深い商流で将来が不安になる
  • 元請けやエンド企業の社員と同じように働いているのに、待遇差が大きい
  • 自分の所属会社が現場の仕事内容をほとんど理解していない

特につらいのは、現場では必要とされている感覚があるのに、キャリアと報酬が積み上がっている実感が薄いことです。

SESそのものが悪いわけではありません。問題になりやすいのは、どの商流にいるか、どんな工程を任されているか、誰から評価される立場かです。

同じSESでも、一次請けに近い会社で要件整理や設計まで経験できる人と、深い商流で作業だけを切り出される人では、数年後の市場価値に差が出やすくなります。

もし「商流だけでなく、そもそもSESを続けるべきか」で迷っている場合は、SESを辞めるべきか判断する基準を先に整理しておくと、自分の不満が商流の問題なのか、働き方全体の問題なのかを分けやすくなります。

SESの商流が深いと何が起きるのか

SESの現場では、案件が次のように流れることがあります。

エンド企業 → 元請け → 二次請け → 三次請け → あなたの所属会社 → あなた

この流れが長いほど、間に入る会社は増えます。すると、単純にお金の話だけでなく、次のような問題が起きやすくなります。

  • 情報が遅れて伝わる
  • 判断の理由が見えにくい
  • 任される工程が狭くなる
  • 顧客に近い経験が積みにくい
  • 単価交渉の余地が小さくなる
  • 現場評価が自社評価に変換されにくい
  • 案件終了や契約更新の情報が急に伝わる
  • 自分の希望が上位会社や顧客に届きにくい

商流が深いと、エンジニア本人の努力だけでは解決しにくい問題が増えます。

たとえば、現場では「次のリリースでも残ってほしい」と言われているのに、自社では昇給につながらない。顧客から評価されていても、自社の営業や評価者がその内容を正確に把握していない。こうしたズレが起きやすくなります。

ただし、ここで短絡的に「だから商流飛ばしをしよう」と考えるのは危険です。

商流が深いことへの不満と、商流を飛ばす行動の是非は分けて考える必要があります。

商流飛ばしが危険と言われる理由

SESの商流飛ばしが危険と言われる理由は、単に「業界のマナーが悪いから」ではありません。実務上、複数のリスクが重なるからです。

契約違反になる可能性がある

SESの案件では、会社間で契約が結ばれています。契約書の中には、再委託、秘密保持、顧客への直接営業、引き抜き禁止、競業避止に関する条項が含まれていることがあります。

エンジニア本人が契約書を直接見ていなくても、所属会社と取引先の間には約束があります。

その取引関係を使って、上位会社やエンド企業に直接契約を打診すると、会社間の契約違反として問題になる可能性があります。

特に危険なのは、次のような行動です。

  • 現場担当者に「間の会社を抜いて契約できませんか」と持ちかける
  • 元請け営業に直接連絡して、所属会社を外す相談をする
  • 契約更新の直前に、上位会社へ直接契約を提案する
  • 所属会社の案件情報や単価情報を使って個人営業する
  • 退職前から取引先と個別に契約交渉を進める

本人としては「自分の単価を上げたいだけ」でも、相手からは「取引関係を壊す行為」と見られることがあります。

信用を失いやすい

IT業界は広いようで、同じ商流や同じ技術領域では意外と人がつながっています。

商流飛ばしをした本人が一時的に得をしたとしても、所属会社、上位会社、元請け、エンド企業のどこかでトラブルになれば、今後の案件紹介や転職活動に影響することがあります。

特にSESやフリーランスの案件は、スキルだけでなく信用も見られます。

  • 契約を守れるか
  • 関係者との調整ができるか
  • 現場でトラブルを起こさないか
  • 情報の扱いが安全か

こうした点は、技術力と同じくらい重要です。

受託開発やシステム開発の現場でも、評価されるのは「実装が速い人」だけではありません。契約範囲や関係者の役割を理解し、認識ズレを起こさずに進められる人は、上流工程や顧客折衝でも任せやすくなります。逆に、契約や商流を軽く見て動く人は、どれだけ技術があっても重要なポジションを任せにくくなります。

損害賠償やトラブルに発展する可能性がある

商流飛ばしが発覚した場合、会社間で損害賠償、取引停止、契約解除のような問題に発展することがあります。

もちろん、すべてのケースで大きな法的トラブルになるわけではありません。ただ、会社員エンジニア個人がそのリスクを正確に判断するのは難しいです。

特に、以下のような情報を使って直接契約を進めるのは危険です。

  • 所属会社経由で知った顧客担当者の連絡先
  • 案件単価や契約条件
  • 上位会社の営業情報
  • 参画中プロジェクトの内部情報
  • 他社メンバーの単価や商流情報
  • 未公開の案件情報

商流飛ばしの問題は、単に「誰と契約するか」だけではありません。

その契約に至るまでに、どの情報を使ったのかも見られます。

現場に迷惑がかかる

商流飛ばしは、自分と会社だけの問題で終わらないことがあります。

たとえば、あなたが現場で評価されていても、商流飛ばしの話が出ると、エンド企業や元請けの担当者が板挟みになります。現場としては継続してほしい。でも契約上は簡単に動けない。結果として、現場担当者、営業担当者、上位会社、所属会社の間で調整コストが増えます。

その結果、次のようなことが起きる可能性があります。

  • 契約更新が見送られる
  • 現場から外される
  • 所属会社との関係が悪化する
  • 上位会社から敬遠される
  • 他メンバーの参画にも影響が出る

「自分の待遇を改善したい」という動機は自然です。

ただし、商流飛ばしは関係者全体の信用を揺らすため、やり方を間違えると自分のキャリアにも現場にも悪影響が出ます。

商流飛ばしは違法なのか

結論から言うと、商流飛ばしという行為そのものが、常に直ちに違法と決まるわけではありません

ただし、違法ではない可能性があることと、安全にやっていいことは別です。

商流飛ばしは、次のような論点と絡みます。

  • 会社間契約への違反
  • 秘密保持義務違反
  • 競業避止義務
  • 引き抜き禁止条項
  • 不正競争防止法上の営業秘密
  • 退職前の忠実義務
  • 偽装請負や違法派遣の問題

会社員エンジニアが特に注意すべきなのは、法律上どうかだけで判断しないことです。

たとえば、「退職後なら職業選択の自由があるから問題ない」と考える人もいます。たしかに、どの会社で働くか、どの仕事を選ぶかは重要な権利です。

しかし、退職後であっても、前職の営業秘密を使う、在職中に取引先と裏で交渉する、契約上禁止されている行為をする、といった動きはトラブルになり得ます。

つまり、見るべきポイントは「違法かどうか」だけではありません。

  • 在職中に動いていないか
  • 会社の情報を使っていないか
  • 契約関係を壊す形になっていないか
  • 取引先担当者を巻き込んでいないか
  • 第三者から見て不自然な経緯になっていないか

このあたりを冷静に見る必要があります。

個別の契約や法律判断はケースによって変わるため、不安がある場合は契約書、就業規則、誓約書を確認し、必要に応じて専門家へ相談するのが安全です。

商流飛ばしと偽装請負は別の問題

商流飛ばしを調べていると、「SESは違法なのでは」「偽装請負ではないか」という情報も見かけます。

ここは混同しない方がいいです。

商流飛ばしは、商流上の会社を抜いて直接契約しようとする問題です。

一方で、偽装請負は、契約の形式と実態が合っていない問題です。

たとえば、契約上は請負や準委任なのに、実態として客先がエンジニアへ直接細かく指揮命令している場合、偽装請負の問題になり得ます。

つまり、商流が深いから直ちに違法というわけではありません。

反対に、商流が浅くても、契約と実態が合っていなければ問題になる可能性があります。

見るべきポイントは次の通りです。

見るポイント

問題になりやすい状態

指揮命令

客先が勤怠・作業手順・優先順位を直接細かく指示している

契約形態

準委任・請負なのに、実態が派遣に近い

責任範囲

所属会社が業務管理をしていない

現場運用

自社の管理者が実質的に不在

勤怠管理

客先が直接管理している

大事なのは、「商流が深いから違法」と単純化しないことです。

自分が置かれている環境を整理するときは、商流の深さと契約実態を分けて見ましょう。

商流飛ばしと引き抜きの違い

商流飛ばしと似た言葉に「引き抜き」があります。

この2つは近い場面で使われますが、同じではありません。

用語

主な意味

注意点

商流飛ばし

中間会社を抜いて、上位会社やエンド企業と直接契約しようとすること

会社間契約や信用問題になりやすい

引き抜き

取引先や上位会社が、エンジニアを自社採用・直接契約しようとすること

在職中の勧誘、契約条項、情報利用に注意

エンド直

最初からエンド企業と直接、または近い商流で契約している状態

正常な取引なら商流飛ばしとは別

高還元SES

所属会社が受け取る単価の多くを給与に還元するSES

還元率の定義確認が必要

フリーランス直契約

個人事業主として企業と直接契約すること

契約・税務・営業責任を自分で負う

引き抜きについても、「すべて違法」とは言い切れません。

ただし、現在の取引関係を利用して、契約中のエンジニアを裏で移籍させるような動きは、会社間トラブルになりやすいです。

会社員側が特に避けるべきなのは、在職中に取引先と直接契約の話を進めることです。

たとえ相手から誘われたとしても、すぐに乗るのではなく、まずは自分の雇用契約、誓約書、就業規則を確認してください。必要なら、退職後の転職活動として正規ルートで進める方が安全です。

商流飛ばしがバレる主なパターン

「黙っていればバレないのでは」と考える人もいるかもしれません。

しかし、SESの商流飛ばしは意外とバレやすいです。

理由は、案件の契約更新、入退場手続き、アカウント管理、営業同士の連絡など、複数の接点があるからです。

契約更新のタイミングで分かる

SES案件は、1か月単位、3か月単位、6か月単位などで契約更新されることがあります。

契約更新のタイミングでは、上位会社、所属会社、現場担当者の間で継続可否や単価の話が出ます。

そこで急に「本人は別ルートで続けるらしい」「所属会社を変えて同じ現場に残るらしい」という話が出ると、不自然さが目立ちます。

入退場手続きで分かる

現場に入るとき、退場するときには、入館証、貸与PC、アカウント、メール、チャット、VPN、開発環境などの管理があります。

所属会社が変わる、契約元が変わる、契約形態が変わる場合、何らかの手続きが発生します。

同じ人が同じ現場に残るのに、商流だけが急に変わると、関係者が気づきやすくなります。

営業同士のつながりで分かる

SES業界では、営業同士がつながっていることも多いです。

同じ案件、同じ元請け、同じ現場で人材を出し合っている会社同士なら、情報が回ることがあります。

「前にうち経由で入っていた人が、別ルートで同じ現場に入っている」と分かれば、商流飛ばしを疑われる可能性があります。

現場担当者の不用意な発言で分かる

商流飛ばしは、本人が黙っていても、周囲の発言で明らかになることがあります。

たとえば、現場担当者が「次から直接契約になったんですよね」と何気なく話してしまう。上位会社の営業が別の会社に確認してしまう。別メンバーが単価や契約元の話をしてしまう。

商流に関する話は、自分だけで管理できるものではありません。

経歴書・スキルシートで不自然に見える

転職活動や案件探しの際に、同じ現場名、同じ期間、同じ担当内容なのに、途中から契約元だけが変わっていると、質問されることがあります。

もちろん、正当な転職や会社変更なら問題ありません。

ただし、説明しにくい経緯があると、面談で信頼を落とす可能性があります。

商流飛ばしでよくある誤解

会社員のまま取引先と直接つながれば解決するわけではない

「今の客先に気に入られているから、そのまま個人で契約できないか」と考える人はいます。

気持ちは分かります。

ですが、これは現実的な戦略とは言いにくいです。

なぜなら、今の案件はあなた個人ではなく、所属会社を通じて成立している取引だからです。そこを飛ばそうとすると、契約面や信頼関係の面でトラブルになりやすく、今後のキャリアにとっても得策ではありません。

このテーマで本当に考えるべきなのは、今の取引先を抜くことではありません。

次の環境で、より浅い商流・より高い期待値のポジションに移ることです。

退職後なら何をしてもいいわけではない

「退職すれば所属会社とは関係ないから、取引先と直接契約してもいい」と考える人もいます。

しかし、退職後であっても注意は必要です。

退職前に取引先と話を進めていた場合、在職中の忠実義務や秘密保持の問題が出る可能性があります。退職時に誓約書を書いている場合、競業避止や顧客への営業制限が含まれていることもあります。

また、法律上の問題にならなかったとしても、前職や上位会社との関係が悪化すれば、その後の案件紹介や信用に影響することがあります。

退職後に同じ現場へ別ルートで戻る場合は、特に慎重に考えるべきです。

直請けでも高単価とは限らない

直請けやエンド直は魅力的に見えます。

たしかに、間に入る会社が少ない方が、エンジニア側に残る金額は大きくなりやすいです。

ただ、直請け = 高単価ではありません。

たとえば、次のような案件では、商流が浅くても単価は伸びにくいです。

  • 顧客の予算自体が低い
  • 任される業務が運用保守中心
  • 責任範囲が狭い
  • 代替しやすいポジション
  • 技術的な難易度が低い
  • 改善提案や設計の余地が少ない

逆に、商流が1社入っていても、次のような案件なら単価は上がりやすくなります。

  • 要件整理に入れる
  • 基本設計を任される
  • 顧客折衝がある
  • 改善提案まで求められる
  • 障害対応で原因分析まで担う
  • チームの進捗管理や課題管理を任される

単価を決めるのは、商流の深さだけではありません。

任される範囲と、期待される価値が重要です。

SESで給料が上がらない原因は、商流だけでなく、単価・評価制度・任される工程にもあります。年収を上げるために何を見直すべきかは、SESで給料が上がらない原因と年収アップの考え方で詳しく解説しています。

高還元SESなら必ず得とは限らない

商流飛ばしを考える人の中には、高還元SESに興味を持つ人も多いです。

高還元SESは、エンジニアの単価に対して給与への還元率を高める仕組みです。商流を飛ばさずに年収を上げる選択肢としては、現実的な候補になります。

ただし、見るべきポイントがあります。

  • 還元率は何に対する割合か
  • 社会保険料や会社負担分は含まれているか
  • 交通費や福利厚生はどう扱われるか
  • 待機時の給与はどうなるか
  • 案件選択の自由度はどこまであるか
  • 単価が下がった場合の給与はどうなるか
  • 商流は浅いのか、単に還元率が高いだけなのか

「還元率80%」のような数字だけで判断すると危険です。

高還元でも、案件が下流固定だったり、待機時の条件が厳しかったり、商流が深いままだったりすることがあります。

見るべきなのは、数字の大きさではなく、計算根拠とキャリアの積み上がり方です。

会社員SESがやってはいけない行動

商流飛ばしで失敗しないためには、危険な行動を先に知っておくことが大切です。

現場で単価や商流を詰めすぎる

自分の単価や商流を知りたい気持ちは分かります。

ただ、現場の社員や上位会社の担当者に、いきなり単価や商流を細かく聞くのは避けた方がいいです。

特に、次のような聞き方は危険です。

  • 「自分はいくらで契約されていますか」
  • 「間の会社は何社入っていますか」
  • 「直接契約したらいくら出せますか」
  • 「うちの会社を抜いたら安くなりますよね」

こうした話は、相手を困らせます。

確認したい場合は、自社の営業や評価面談で、単価開示の有無、評価基準、商流の考え方を聞く方が安全です。

取引先に直接契約を持ちかける

在職中に取引先へ直接契約を持ちかけるのは、最も避けたい行動です。

本人に悪気がなくても、所属会社から見れば、顧客を奪う行為に見えます。取引先から見ても、契約関係を理解していない人だと受け取られる可能性があります。

高単価を目指すなら、今の取引先を抜くのではなく、次の転職先や案件選びで浅い商流を狙いましょう。

案件情報を個人営業に使う

所属会社経由で得た案件情報、顧客情報、契約条件、単価情報を、自分の転職活動やフリーランス営業に使うのは危険です。

特に、社内チャット、営業資料、契約書、見積情報、顧客名簿などを持ち出す行為は絶対に避けるべきです。

市場価値を上げたいなら、使うべきなのは会社の情報ではありません。

使うべきなのは、自分の経験、担当工程、成果、技術スキル、課題解決の実績です。

「商流飛ばししたい」と面接でそのまま言う

転職面接で「商流飛ばしをしたいです」と言うのはおすすめしません。

不満の強い人、契約意識が低い人、トラブルを起こしやすい人に見える可能性があるからです。

伝えるなら、次のように言い換えた方が安全です。

  • より顧客に近い立場で、要件整理や設計に関わりたい
  • 商流が深い環境では評価が見えにくく、次は責任範囲を広げたい
  • 作業だけでなく、改善提案や顧客折衝まで担いたい
  • 自分の成果が評価に反映されやすい環境で働きたい

不満をそのまま出すのではなく、キャリアの方向性として伝えることが大切です。

商流飛ばしではなく商流を短くする考え方

商流飛ばしを避けるべきだとしても、「今の深い商流のまま我慢するしかない」という意味ではありません。

むしろ、キャリアとしては積極的に商流を短くする選択肢を考えるべきです。

違いは次の通りです。

考え方

行動

リスク

再現性

商流飛ばし

今の取引先を抜いて直接契約しようとする

高い

低い

商流を短くする

次の転職先や案件で一次請け・エンド直を狙う

低い

高い

高還元SESへ移る

単価開示や還元率が明確な会社へ転職する

フリーランスになる

新しい契約として案件を探す

中〜高

スキル次第

自社開発・受託・社内SEへ移る

SES以外の評価軸へ移る

低〜中

目的次第

商流飛ばしは、今ある関係を壊してショートカットしようとする動きです。

商流を短くする転職は、新しい環境で正規のルートを選び直す動きです。

この違いを押さえるだけで、キャリアの考え方はかなり整理しやすくなります。

本当に重要なのは「誰に、どこまで価値を出しているか」

高単価を目指すなら、商流だけを見るのではなく、自分がどこまで価値を出しているかを見る必要があります。

受託開発や設計に近い現場で評価されやすいのは、単に手を動かせる人より、曖昧な要件を整理し、影響範囲を考え、関係者の認識を合わせられる人です。

現場では、次のような点が見られます。

  • 実装ができるか
  • 何を作るべきかを詰められるか
  • 仕様の抜け漏れに気づけるか
  • トラブルの火種を早めに見つけられるか
  • 顧客や社内に伝わる形で説明できるか
  • 課題を放置せず、整理して前に進められるか

高単価を目指すなら、商流を飛ばす発想だけでなく、直接評価される仕事に寄せる発想が欠かせません。

高単価に近づく現実的な3つの戦略

1. 商流が浅いSES・SIerへ移る

いちばん現実的で、再現性が高い選択肢です。

今すぐフリーランスになるのは不安でも、一次請けに近い会社や、エンドとの直接取引が多い会社へ移るだけで、状況はかなり変わります。

このルートのメリットは、会社員の安定を保ちながら、次の環境を狙えることです。

  • 顧客との距離が近い
  • 上流工程に入りやすい
  • チームで学べる
  • 商流が浅くなりやすい
  • 単価や評価の説明を受けやすい
  • 現場評価が自社評価に反映されやすい

特に、今が三次請け以降で、テスト・運用・監視中心になっている人ほど、まずはここが現実解になりやすいです。

向いている人は次のような人です。

  • まずは転職で環境を変えたい
  • いきなり独立は不安
  • 上流工程の経験を積みたい
  • 会社員の安定も残したい
  • 商流の深さと評価の不透明さに不満がある

注意が必要なのは、会社名や「エンド直」の言葉だけで判断してしまう人です。

エンド直と書かれていても、実際には一部の案件だけかもしれません。一次請けと書かれていても、担当工程が運用保守やテスト中心なら、キャリア改善は限定的です。

面接では、エンド直案件の比率、一次請け案件の比率、担当工程、チーム体制、単価開示の有無まで確認しましょう。

2. 受託開発・自社開発・社内SEなどへキャリアをずらす

「そもそも常駐中心の働き方が合わない」と感じている人は、SES以外の選択肢も有力です。

商流の悩みが深い人の中には、単に報酬の問題だけでなく、次のような悩みを抱えているケースがあります。

  • 客先常駐そのものがしんどい
  • 帰属意識を持ちにくい
  • プロダクトや事業理解が浅くなりやすい
  • スキルが点でしか積み上がらない
  • 現場が変わるたびに人間関係を作り直すのがつらい
  • 自分の成果がどこに残っているのか分かりにくい

その場合は、無理にSES内で商流だけを浅くするより、受託開発・自社開発・社内SEなど、成果や責任範囲が見えやすい環境へ移る方が合うことがあります。

ただし、「社内勤務なら何でもいい」と考えるのは危険です。

たとえば、社内SEでも保守運用だけで改善余地が少ない環境だと、商流の悩みは減っても市場価値が伸びにくいことがあります。自社開発でも、レガシーな保守だけで新規開発や設計に関われない場合は、期待とズレるかもしれません。

大事なのは、働く場所ではなく、何を任され、何が積み上がるかです。

次の選択肢を比較したい人は、自社開発・社内SE・受託・SIer・フリーランスの違いを整理しておくと、商流だけに偏らず判断しやすくなります。

3. フリーランスとして商流を短くする

報酬面だけで見ると、最もインパクトが出やすいのはこのルートです。

フリーランスになれば、会社員時代のような固定の所属マージンはなくなります。エージェント経由でも、商流を短くしやすい案件に出会える可能性があります。

ただし、ここは理想だけで選ばない方がいいです。

フリーランスになると、次の責任を自分で背負うことになります。

  • 案件が切れるリスク
  • 単価交渉
  • 契約確認
  • 請求
  • 税務
  • 保険や年金
  • 次の案件探し
  • スキルアップの投資
  • トラブル時の対応

会社員SESでは、営業、契約、請求、社会保険、待機時のリスクを会社が一部負っています。フリーランスになると、その分だけ自由度は上がりますが、責任も増えます。

向いている人は次のような人です。

  • すでに一定の実務実績がある
  • 自分の強みを説明できる
  • スキルシートに成果を書ける
  • 契約や税務も学ぶ気がある
  • 案件が切れるリスクを許容できる
  • 指示待ちではなく、自走できる

まだ早い人は次のような人です。

  • 現場での再現性ある強みが曖昧
  • 指示待ちになりやすい
  • スキルシートが作業列挙のまま
  • 商流への不満だけで独立を考えている
  • 貯金や生活防衛資金がほとんどない
  • 契約内容を確認する習慣がない

フリーランスは、商流を短くする有効な手段です。

ただし、商流飛ばしの延長で考えるのではなく、独立した事業者として新しい契約を取りに行くものだと考えましょう。

高単価を実現しやすい人の共通点

評価されやすい経験

転職市場で評価されやすいのは、次のような経験です。

  • 要件の整理や仕様確認に入った経験
  • 基本設計、詳細設計の経験
  • 顧客や他部署との調整経験
  • 障害対応で原因切り分けまで行った経験
  • 改善提案を出し、実際に反映された経験
  • 進捗管理や課題管理を担った経験
  • リリース手順や運用手順を改善した経験
  • 問い合わせ対応の傾向を分析し、再発防止につなげた経験
  • 既存システムの影響調査を行った経験
  • 後輩や他メンバーのフォローをした経験

要するに、「ただ作業した」ではなく、考えて前に進めた経験です。

現場では、技術名の数よりも、課題に対してどう動いたかが見られます。

たとえば、同じテスト経験でも、ただテストケースを消化しただけなのか、仕様の矛盾を見つけて手戻りを防いだのかで評価は変わります。

評価されにくい経験

逆に、次のような経験は、年数のわりに市場評価が伸びにくいことがあります。

  • 手順通りの監視だけ
  • テスト実行だけ
  • 指示された改修だけ
  • 顧客との接点がない
  • なぜその作業をしているのか説明しにくい
  • 使用技術は書けるが、担当範囲を説明できない
  • 成果や改善点がない
  • 何年も同じ作業だけを続けている

もちろん、こうした仕事にも価値はあります。

ただし、高単価を狙う材料としては弱くなりやすいのが現実です。

今の業務がこの状態に近いなら、商流飛ばしを考える前に、まずは担当範囲を広げるか、次の環境で設計・改善・調整の経験を取りに行く方が効果的です。

SESでスキルがつかないと感じている場合は、SESでスキルがつかないと感じたときの選択肢で、今の業務を続けるべきか、環境を変えるべきかを整理できます。

求人票・案件票で確認すべき項目

商流飛ばしをしなくても、求人票や案件票の見方を変えれば、商流が浅い環境に近づけます。

確認すべき項目は次の通りです。

確認項目

見るべきポイント

商流

エンド直・一次請け案件の比率はどれくらいか

商流制限

二次請けまで、三次請けまでなどの制限があるか

単価開示

自分の単価をどこまで開示してもらえるか

還元率

何を基準に何%還元なのか

待機時給与

待機時に給与が下がるのか、固定なのか

担当工程

テスト・運用だけでなく、設計や要件整理に入れるか

顧客折衝

顧客と直接会話する機会があるか

チーム体制

単独参画か、チーム参画か

評価制度

現場評価が給与にどう反映されるか

案件選択

エンジニア側に選択権があるか

契約形態

準委任、派遣、請負のどれが多いか

キャリア支援

次に伸ばす工程や技術の相談ができるか

特に重要なのは、「エンド直」「高還元」「案件選択自由」のような言葉をそのまま信じないことです。

面接では、次のように具体的に聞くと判断しやすくなります。

  • エンド直・一次請け案件は全体の何割くらいですか
  • 三次請け以降の案件はありますか
  • 還元率は単価の何に対して計算されますか
  • 待機時の給与や評価はどうなりますか
  • 単価は本人に開示されますか
  • 案件選択で断れる範囲はどこまでですか
  • 設計や顧客折衝に入れる案件はありますか
  • チーム参画と単独参画の割合はどれくらいですか
  • 現場評価は誰がどのように回収しますか

商流が浅くても、下流固定ならキャリア改善は限定的です。

逆に、少し商流が入っていても、要件整理や設計に入れるなら、次につながる経験になることがあります。

職務経歴書・スキルシートで商流の不利を補う方法

商流が深いSESにいると、「自分の経験は評価されないのでは」と不安になりやすいです。

しかし、商流が深くても、伝え方を変えれば評価される経験はあります。

大事なのは、作業名だけで終わらせないことです。

悪い書き方

  • Javaで開発を担当
  • テストを担当
  • 運用保守を担当
  • 障害対応を担当
  • 問い合わせ対応を担当

これだけだと、何ができる人なのか伝わりません。

良い書き方

  • 既存機能の改修において、影響範囲調査、実装、単体テストまで担当
  • テスト実行だけでなく、仕様不明点を整理し、設計者へ確認して手戻りを防止
  • 障害発生時にログ調査と原因切り分けを行い、暫定対応と再発防止案を整理
  • 問い合わせ内容を分類し、頻出質問を手順書に反映して対応時間を削減
  • リリース作業のチェックリストを整備し、作業漏れを防止

見る側が知りたいのは、担当した作業名だけではありません。

  • どんな課題があったか
  • 自分はどこまで担当したか
  • 何を工夫したか
  • 誰と調整したか
  • 結果どうなったか

ここまで書けると、商流が深くても「考えて動ける人」として見られやすくなります。

職務経歴書に何を書けばいいか分からない人は、まず経験の棚卸しから始めるのがおすすめです。SESから転職するための職務経歴書・面接対策は、SES経験を職務経歴書で伝える方法で詳しく解説しています。

面接で商流への不満をどう伝えるか

面接で商流への不満を話すときは、言い方に注意が必要です。

不満そのものは自然ですが、そのまま話すと「条件面だけで動く人」「現職批判が強い人」と見られる可能性があります。

避けたい伝え方

  • 商流が深くて搾取されているので辞めたいです
  • 商流飛ばしをしたいです
  • 今の会社が何もしていないので不満です
  • 単価のわりに給料が低いので、とにかく上げたいです

これでは、転職理由として弱く見えます。

伝わりやすい言い換え

  • 現職では下流工程中心の案件が多く、今後は設計や顧客折衝に関わりたいと考えています
  • 現場評価と自社評価に距離があり、より成果が評価に反映される環境で働きたいです
  • より顧客に近い立場で、要件整理や改善提案まで担えるエンジニアを目指しています
  • 運用保守で得た障害対応や改善経験を活かし、次は設計・開発領域に広げたいです
  • 商流の浅い環境で、責任範囲を広げながら市場価値を高めたいです

ポイントは、商流への不満を、責任範囲を広げたい理由に変換することです。

採用側が知りたいのは、「現職が嫌だから辞めたい人」かどうかではありません。

「次の環境で何を担える人なのか」です。

商流飛ばしを考える前に整理すべきチェックリスト

商流飛ばしを考えるほど今の環境に不満があるなら、まず次の項目を整理してみてください。

  • 自分は今、何次請けにいるのか
  • 単価は開示されているか
  • 給与や評価の計算根拠は分かるか
  • 現場評価は自社に伝わっているか
  • 担当工程は広がっているか
  • 顧客折衝や設計の機会はあるか
  • 1年後に市場価値が上がる経験を積めそうか
  • 自社に単価交渉や案件変更を相談したか
  • 転職で改善できる問題か
  • フリーランスでないと解決しない問題か

このチェックをすると、不満の正体が見えやすくなります。

たとえば、給料だけが不満なら、高還元SESや単価評価が明確な会社が合うかもしれません。

上流工程に入れないことが不満なら、一次請けSES、SIer、受託開発が候補になります。

常駐そのものがつらいなら、自社開発、社内SE、受託開発なども検討対象になります。

不満を「商流飛ばし」に直結させず、何を変えたいのかに分解することが大切です。

まとめ|狙うべきは商流飛ばしではなく、直接評価される位置へ移ること

SESで働いていると、「商流を飛ばしたい」と感じるのは自然です。

顧客先で頑張っているのに給料が上がらない。現場で評価されているのに自社評価に反映されない。自分の単価と給与の差が大きい。そう感じれば、間にいる会社を抜きたくなる気持ちは分かります。

ただし、会社員のまま無理に商流を飛ばそうとするのは危険です。

契約違反、信用低下、取引先とのトラブル、今後の案件紹介への悪影響など、得られるメリット以上にリスクが大きくなる可能性があります。

本当に考えるべきなのは、次の3つです。

  • 商流が浅い会社へ移る
  • SES以外の働き方へずらす
  • フリーランスとして新しい契約を取りに行く

そして、その前提として必要なのが、自分が高単価に見合う経験を積めているかを整理することです。

単価は、単に技術名の数では決まりません。

  • どこまで任されてきたか
  • 誰に対して価値を出してきたか
  • 課題をどう解決してきたか
  • 再現性のある強みを説明できるか

ここで決まります。

商流飛ばしは、今の関係を壊してショートカットしようとする行動です。

商流を短くするキャリア戦略は、次の環境を正しく選び直す行動です。

今の環境に違和感があるなら、感情だけで動かず、まずは「自分は次にどの位置へ移るべきか」を整理してみてください。商流を無理に飛ばすより、直接評価される位置へ移る方が、長い目で見て安全で再現性のある選択になります。