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クラウドエンジニアの仕事内容とは?必要なスキルや将来性、キャリアパスを徹底解説

クラウドエンジニアの仕事内容を設計・構築から運用まで具体的に解説。未経験から目指す方法、必要なスキル、将来性、年収まで網羅。この記事を読めば、クラウドエンジニアへのキャリアパスが明確になります。

キャリアパス診断してみる

「最近よく聞くクラウドエンジニアって、具体的にどんな仕事をしているんだろう?」
「今のインフラエンジニアの経験を活かして、キャリアアップしたいけど、何から始めれば…」

現在IT業界で活躍されているあなたも、このような疑問や漠然とした不安を感じているのではないでしょうか。DX化の波に乗り、クラウド技術の重要性は日々高まっています。しかし、そのクラウドエンジニアの仕事内容を正確に理解している人は意外と少ないのが現状です。

この記事では、そんなあなたのために、以下の点を分かりやすく解説します。

  • クラウドエンジニアの具体的な仕事内容(フェーズ別)
  • 求められるスキルや知識
  • 気になる将来性や年収
  • 未経験から目指すための具体的なキャリアパス

この記事を読み終える頃には、クラウドエンジニアという仕事の全体像が明確になり、「自分も挑戦してみたい!」と次の一歩を踏み出す自信が持てるはずです。

そもそもクラウドエンジニアとは?インフラエンジニアとの違い

クラウドエンジニアとは、Amazon Web Services (AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform (GCP)といったクラウドサービスを利用して、企業のITインフラを設計、構築、運用する専門家のことです。

従来のインフラエンジニアが、自社で物理的なサーバーやネットワーク機器を管理する「オンプレミス環境」を扱っていたのに対し、クラウドエンジニアはインターネット経由で提供される仮想的なリソースを扱います。

比較項目

従来のインフラエンジニア(オンプレミス)

クラウドエンジニア

扱う環境

物理サーバー、自社データセンター

仮想サーバー、クラウドプラットフォーム

調達方法

機器の購入・設置(数週間〜数ヶ月)

Webコンソール上で数分で調達可能

コスト

初期投資(CAPEX)が大きい

使った分だけ支払う従量課金制(OPEX)

主な業務

サーバーの設置、配線、OSインストール

コードによるインフラ構築、自動化、最適化

最大の違いは、物理的な制約から解放され、柔軟かつスピーディにインフラを構築・変更できる点です。これにより、ビジネスの変化に素早く対応できるインフラを実現するのが、クラウドエンジニアの大きな役割と言えます。

【フェーズ別】クラウドエンジニアの具体的な仕事内容

クラウドエンジニアの仕事は多岐にわたりますが、プロジェクトの進行に合わせて大きく5つのフェーズに分けられます。

1. 要件定義・ヒアリング

まず、クライアントや自社の開発チームが「どのようなシステムを作りたいのか」「どんな課題を解決したいのか」をヒアリングします。
例えば、「アクセスが急増しても落ちないECサイトを作りたい」「大量のデータを高速で分析する基盤が欲しい」といった要望を深く理解し、それを実現するための技術的な要件を定義します。

2. クラウド環境の設計

ヒアリングした要件に基づき、最適なクラウド環境を設計します。

  • どのクラウドサービス(AWS, Azure, GCPなど)を使うか?
  • サーバーのスペックや数はどれくらい必要か?
  • セキュリティはどのように担保するか?
  • 障害発生時にどうやって復旧させるか?

など、可用性、パフォーマンス、セキュリティ、コストといった複数の観点からベストな構成を考え抜く、非常に重要なフェーズです。

3. クラウド環境の構築

設計書に基づいて、実際にクラウド上にインフラを構築していきます。
クラウドでは、Web上の管理画面(コンソール)から操作するだけでなく、IaC (Infrastructure as Code) と呼ばれる、コードでインフラを構築・管理する手法が主流です。これにより、手作業によるミスを防ぎ、誰がやっても同じ環境を正確かつ迅速に再現できるようになります。

4. 運用・保守

構築したシステムが安定して稼働するように、日々の監視やメンテナンスを行います。

  • サーバーのリソース(CPU、メモリ)監視
  • OSやソフトウェアのアップデート
  • 定期的なバックアップ
  • 障害発生時の原因調査と復旧対応

オンプレミス環境と異なり、ハードウェアの故障対応などはありませんが、クラウドサービス側の障害情報にも常に気を配る必要があります。

5. パフォーマンス改善・最適化

システムの稼働状況を分析し、より快適でコスト効率の良い環境を目指して改善を続けます。
「サイトの表示速度が遅い」「クラウドの利用料金が高すぎる」といった課題に対し、サーバー構成の見直しや不要なリソースの削除などを行い、システムのパフォーマンスとコストを常に最適化していくのも重要な仕事です。

クラウドエンジニアに求められる必須スキルと知識

クラウドエンジニアとして活躍するためには、特定のクラウドサービスに関する知識だけでなく、ITインフラ全般にわたる幅広いスキルが求められます。

クラウドプラットフォームの知識 (AWS, Azure, GCP)

当然ながら、主要なクラウドプラットフォームに関する深い知識は必須です。特に国内シェアNo.1のAWS (Amazon Web Services) は、多くの企業で採用されており、まず学ぶべきプラットフォームと言えるでしょう。各サービスの特徴を理解し、要件に合わせて適切に組み合わせる能力が求められます。

OS・サーバーに関する知識

クラウド上のサーバーも、基本的にはLinuxやWindowsといったOSで動作しています。OSの基本的なコマンド操作、ミドルウェア(Webサーバー、DBサーバーなど)の構築・設定スキルは、クラウド環境でも必須の基礎知識です。

ネットワーク・セキュリティの知識

クラウドでは、仮想的なネットワーク(VPC)を構築し、外部からの不正アクセスを防ぐためのセキュリティ設定を行います。TCP/IPの基礎知識や、ファイアウォール、暗号化といったセキュリティ技術への理解は、安全なシステムを構築する上で欠かせません。

プログラミング・自動化のスキル

インフラ構築や日々の運用作業を自動化するために、プログラミングスキルが重要になります。特に、PythonGoシェルスクリプトなどがよく使われます。コードを書くことで、作業効率を飛躍的に向上させ、ヒューマンエラーを削減できます。

クラウドエンジニアの将来性と年収は?

キャリアチェンジを考える上で、将来性と年収は最も気になるポイントではないでしょうか。

将来性が高いと言われる3つの理由

結論から言うと、クラウドエンジニアの将来性は非常に高いです。その理由は以下の3つです。

  1. クラウド市場の急成長: 多くの企業がオンプレミス環境からクラウドへの移行(クラウドシフト)を進めており、市場全体が拡大し続けています。
  2. DX推進の要であること: デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためには、柔軟でスケーラブルなクラウドインフラが不可欠であり、その担い手であるクラウドエンジニアの需要は増す一方です。
  3. 慢性的な人材不足: 高い需要に対して、高度なスキルを持つクラウドエンジニアの数はまだまだ不足しており、市場価値の高い人材であり続けられます。

気になる年収の目安

クラウドエンジニアの年収は、スキルや経験によって大きく変わりますが、一般的なITエンジニアと比較して高い傾向にあります。
求人情報サイトなどのデータを見ると、未経験や経験の浅い層で400万円〜600万円、3〜5年程度の実務経験を積んだ中堅層では600万円〜800万円、さらに高度な専門性を持つシニア層やアーキテクトになると1,000万円を超えるケースも珍しくありません。

スキルを磨き続けることで、着実に年収アップを目指せる魅力的な職種です。

「クラウドエンジニアはきつい」と言われる理由と実態

将来性が高い一方で、「クラウドエンジニアはきつい」という声も耳にします。その理由と実態について見ていきましょう。

理由1:学習範囲が広く、技術の進化が速い

クラウドサービスは日々アップデートされ、新しいサービスが次々と登場します。常に最新の技術をキャッチアップし、学習し続ける意欲がなければ、すぐに時代遅れになってしまうという厳しさがあります。

理由2:障害対応など、プレッシャーが大きい

企業のビジネスを支える重要なインフラを扱っているため、障害が発生した際の影響は甚大です。迅速かつ正確な対応が求められ、時には深夜や休日の緊急対応が必要になることもあり、大きなプレッシャーがかかります。

理由3:セキュリティへの責任が重い

設定一つで重大な情報漏洩に繋がりかねないため、セキュリティに対する深い知識と細心の注意が求められます。常に最新の脅威を把握し、対策を講じる責任は非常に重いと言えるでしょう。

しかし、これらの「きつさ」は、「専門性が高く、責任とやりがいの大きい仕事」であることの裏返しでもあります。大変な分、無事にシステムが稼働した時の達成感や、自身のスキルアップを実感できる機会も多い仕事です。

未経験からクラウドエンジニアになるためのキャリアパス

「自分にもなれるだろうか…」と不安に思う方もいるかもしれませんが、正しいステップを踏めば、未経験からでもクラウドエンジニアを目指すことは十分に可能です。

Step1: 基礎知識の習得(資格取得がおすすめ)

まずは、インフラの基礎(サーバー、ネットワーク)と、目標とするクラウドプラットフォーム(AWSなど)の基本的な知識を学びましょう。
知識を体系的に学び、スキルを客観的に証明するためには、資格の取得が非常に有効です。AWSであれば「AWS認定 クラウドプラクティショナー」や「AWS認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイト」が最初の目標として最適です。

Step2: 実際に手を動かしてポートフォリオを作成する

学習した知識を定着させるために、実際にクラウドサービスを使って簡単なWebサイトやアプリケーションの環境を構築してみましょう。
クラウドには無料利用枠が用意されていることが多いので、コストを抑えながら実践的なスキルを身につけることができます。作成した環境の構成図や、使った技術などをまとめておけば、転職活動でアピールできる強力なポートフォリオになります。

Step3: 未経験可の求人に応募する

基礎知識とポートフォリオが準備できたら、いよいよ求人に応募します。「未経験者歓迎」や「研修制度あり」といった求人を探しましょう。最初はインフラの運用・監視業務からスタートし、徐々に設計・構築へとステップアップしていくキャリアパスが一般的です。

【補足】オンプレミス経験者の強みとアピール方法

もしあなたが今、オンプレミスのインフラエンジニアとして働いているなら、それは大きな強みになります。サーバー、ネットワーク、セキュリティといったインフラの普遍的な基礎知識は、クラウドの世界でもそのまま活かせます。
転職活動では、「オンプレミスでの〇〇という経験を、クラウドでは△△という形で活かせます」というように、これまでの経験とクラウド技術を結びつけてアピールすることが重要です。


とはいえ、自分一人で学習計画を立てたり、膨大な求人の中から最適な企業を見つけ出すのは大変ですよね。そんな時は、IT業界に特化した転職エージェントを頼るのも一つの賢い選択です。

あなたのスキルや経験、そして将来のキャリアプランに合った企業を紹介してくれるだけでなく、書類選考や面接対策まで手厚くサポートしてくれます。


まとめ:クラウドエンジニアの仕事内容を理解し、キャリアアップを目指そう

今回は、クラウドエンジニアの仕事内容から、必要なスキル、将来性、そして未経験からのキャリアパスまでを解説しました。

  • クラウドエンジニアは、クラウドサービスを用いてインフラの設計・構築・運用を行う専門家
  • 仕事内容は要件定義から設計、構築、運用、最適化まで多岐にわたる
  • クラウド知識に加え、OS、ネットワーク、セキュリティなどの基礎知識
キャリアパス診断してみる

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