【エンジニア必見】特定派遣の廃止(2015年)があなたのキャリアにもたらした影響と今後の戦略
特定派遣の廃止は、SESエンジニアの働き方をどう変えたのか?2015年改正の基本から、無期雇用派遣への移行、キャリア安定化のための具体的な戦略まで、経験者目線で徹底解説します。
キャリアパス診断してみる特定派遣廃止の基本|何がどう変わったのか?
あなたが現在SES(システムエンジニアリングサービス)企業に勤めているエンジニアであれば、「特定派遣」という言葉が過去のものになったことをご存知でしょう。2015年9月の労働者派遣法改正により、長らく存在した特定労働者派遣事業の区分が廃止され、すべての派遣事業が「一般派遣」に一本化されました。
この法改正は、多くのSES企業とそこで働くエンジニアにとって、雇用形態やキャリア戦略を大きく見直すきっかけとなりました。まずは、この法改正の基本と、なぜ特定派遣が廃止されたのかを理解しましょう。
特定派遣と一般派遣の違い
特定派遣が廃止される以前、派遣事業には主に以下の2種類がありました。
- 特定派遣: 派遣元企業に「常用雇用」(正社員など無期雇用)されている労働者のみを派遣する事業。届出制で参入障壁が低かったため、多くのSES企業がこの形態を採用していました。
- 一般派遣: 派遣元企業に雇用期間を定めて登録している労働者(登録型派遣)を派遣する事業。こちらは厚生労働大臣の「許可制」であり、厳しい要件が課されていました。
特定派遣は「常用雇用」が前提であるため、一般派遣よりも安定した雇用形態と見なされがちでしたが、届出制ゆえに小規模な企業が乱立し、派遣労働者の保護が不十分になるケースも指摘されていました。
2015年派遣法改正のポイント
2015年の派遣法改正の最大の目的は、派遣労働者の保護強化とキャリアアップ支援です。特定派遣の廃止と一般派遣への一本化は、この目的達成のための重要なステップでした。
主な変更点は以下の通りです。
- 事業の一本化と許可制への移行: 特定派遣事業が廃止され、すべての派遣事業が許可制の「一般派遣事業」に統一されました。これにより、派遣事業を行う企業にはより厳格な基準(資産要件や事業所要件など)が求められるようになりました。
- 期間制限の導入: 派遣期間に制限が設けられました。特に、同一の組織単位(課やグループなど)で派遣社員として働ける期間は原則3年が上限となりました。これは、派遣労働者のキャリアを不安定にしないための措置です。
- 雇用安定措置の義務化: 派遣期間が長期にわたる派遣労働者に対し、派遣会社が雇用安定のための措置(次の派遣先の提供、派遣元での無期雇用、紹介予定派遣の実施など)を講じることが義務付けられました。
特定派遣廃止がSESエンジニアにもたらした具体的な影響
法改正によって、SES企業は「特定派遣」として事業を継続できなくなりました。これにより、多くのSESエンジニアの働き方やキャリアパスに以下のような具体的な影響が生じています。
雇用形態の主流は「無期雇用派遣」へ
特定派遣として常用雇用されていたエンジニアは、法改正後も原則として雇用が継続されました。しかし、新規採用や事業形態の維持のために、多くのSES企業が採用したのが「無期雇用派遣」という形です。
無期雇用派遣とは、派遣会社と期間の定めのない労働契約を結ぶ形態です。これは、改正派遣法で定められた「雇用安定措置」の一つである「派遣元での無期雇用」にあたります。
メリット:
- 派遣先が見つからない期間も給与が支払われる(待機期間の賃金保証)。
- 雇用期間の定めがないため、雇用の安定性が高い。
課題:
- 派遣先が変わるたびに新しい環境に順応する必要がある。
- 給与水準や昇給ペースが、客先正社員や自社開発企業のエンジニアと比較して伸びにくいケースがある。
キャリアアップの機会と課題
法改正は、派遣会社に対し、派遣労働者への計画的なキャリアアップ教育訓練の実施を義務付けました。これはエンジニアにとって、スキルアップの機会が増えるという大きなメリットがあります。
一方で、3年ルール(同一組織での派遣期間制限)の導入は、一つの専門領域を深く極めたいエンジニアにとって、キャリアを築きにくいという課題も生じさせました。
しかし、この期間制限は「キャリアの停滞を防ぐ」という側面もあります。3年ごとにキャリアを見直すきっかけとなるため、自ら積極的に市場価値の高いスキル(例:クラウド技術、AI開発など)を身につけるモチベーションに繋がります。
「同一労働同一賃金」の適用について
2020年4月(中小企業は2021年4月)からは、「同一労働同一賃金」が適用されています。これは、派遣労働者と派遣先の正社員との間で、不合理な待遇差を設けてはならないというルールです。
これにより、SESエンジニアは、派遣先企業の正社員と同等の業務をしている場合、給与や手当、福利厚生において公平な扱いを受ける権利が明確になりました。
もし、あなたが経験年数やスキルに見合わない待遇を受けていると感じるなら、これは正当な評価を求めるための強力な根拠となります。この制度を理解し、自身の労働条件について企業と交渉することも、重要なキャリア戦略の一つです。
今後のキャリアを安定させるための戦略的アクション
特定派遣の廃止以降、エンジニアのキャリア選択肢はより多様化し、自己責任でキャリアを設計する重要性が増しています。安定した将来を築くために、以下の戦略的アクションを検討しましょう。
戦略1:市場価値を高めるためのスキルアップ
無期雇用派遣であれ、自社開発の正社員であれ、最も強力な安定剤は「市場価値の高いスキル」です。
- 専門性の深化: 汎用的なスキルだけでなく、特定のクラウド環境(AWS, Azure, GCP)や言語(Python, Go, Rust)における高度な専門性を確立する。
- ビジネス理解: 単にコードを書くだけでなく、顧客のビジネス課題を解決するための提案力やプロジェクトマネジメントスキルを習得する。
- 資格取得と実績の可視化: 取得した資格だけでなく、具体的なプロジェクトでの成功体験を職務経歴書に明確に記述し、E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)を高める。
戦略2:雇用形態の選択肢を理解する
特定派遣廃止後の働き方は、無期雇用派遣だけではありません。あなたのライフスタイルやキャリア目標に合わせて、最適な形態を選ぶべきです。
選択肢 | メリット | デメリット/考慮点 |
|---|---|---|
無期雇用派遣 | 雇用の安定性が高い、待機期間も給与保証。 | 派遣先が変わる、給与上限が見えやすい。 |
正社員(自社開発/受託) | 待遇が良い、自社サービスに深く関われる。 | 転職難易度が上がる、残業が多い場合がある。 |
フリーランス | 報酬が高い、働く場所や時間を選べる。 | 案件獲得リスク、社会保障や税金の手続きが煩雑。 |
特に、SESから自社開発企業への転職は、キャリアアップの王道の一つです。自分のスキルがどの選択肢で最も活かせるかを定期的に見直しましょう。
戦略3:キャリアの「軸」を見直す
特定派遣という枠組みがなくなった今、企業に依存するのではなく、自分自身でキャリアの「軸」を持つことが不可欠です。
- 「何ができるか」ではなく「何をしたいか」: 漠然と「エンジニア」を続けるのではなく、「〇〇という技術で、△△な課題を解決するスペシャリストになりたい」という具体的な目標を設定しましょう。
- ペルソナ設定: 自分が5年後、どのような市場で、どんな役割を果たしていたいかを具体的に定義し、その目標達成に必要なスキルを逆算してリスキリング計画を立てます。
【Q&A】特定派遣廃止とSESに関するよくある疑問
Q1. 特定派遣が廃止されて、SES企業の正社員はすべて「無期雇用派遣」になったのですか?
いいえ、そうではありません。特定派遣事業を行っていた企業が、そのまま一般派遣事業(許可制)に移行する際、それまで常用雇用していたエンジニアの雇用形態は維持されます。多くの企業は「無期雇用派遣」という形で事業を継続していますが、これはあくまで派遣事業を行う上での形態です。純粋な自社開発や受託開発を主軸とする企業に転職すれば、通常の正社員として働くことができます。
Q2. 派遣の「3年ルール」は、無期雇用派遣のエンジニアにも適用されますか?
いいえ、適用されません。派遣期間の制限(3年ルール)は、有期雇用の派遣労働者に適用されるルールです。無期雇用派遣(常用雇用)のエンジニアは、期間の定めのない契約であるため、同一の派遣先で3年を超えて働くことが可能です。
Q3. 特定派遣廃止後、SES企業で働くメリットはまだありますか?
はい、あります。SES企業は多様なプロジェクトを経験できるため、特に若手エンジニアにとっては短期間で幅広い技術や業界知識を身につける絶好の機会です。また、無期雇用派遣であれば、派遣先が変わっても雇用が安定しているという大きなメリットがあります。
まとめ:不安を力に変え、キャリアを主導しよう
2015年の特定派遣廃止は、労働環境の適正化と派遣労働者の保護を目的とした大きな変化でした。この変化の結果、SESエンジニアの働き方は「無期雇用派遣」を軸に安定性が高まりましたが、同時に、自律的なキャリア形成の重要性も増しました。
法改正を単なる不安要素と捉えるのではなく、自身の市場価値を見つめ直し、戦略的なスキルアップや転職を通じてキャリアを主導するための「追い風」と捉えましょう。
あなたが持つ専門的な経験は、IT市場において常に高い価値を持っています。その価値を最大限に引き出すための行動こそが、今後のキャリア安定に繋がります。
職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手
「一通りキャリアプランを考えてみたけど、本当にこの方向性で良いか客観的な意見が欲しい…」
「自分の市場価値が分からず、どんな企業に応募すれば良いか迷っている…」
もし一人で悩んでいるなら、転職のプロであるエージェントに相談するのも非常に有効な手段です。
特にIT業界に特化したエージェントは、特定派遣廃止後の市場動向や各企業の採用担当者の視点を熟知しており、あなたの職務経歴書をより魅力的にするための具体的なアドバイスをくれます。また、あなたの希望やスキルに合った、安定性の高い自社開発企業や優良な受託開発企業を紹介してくれるでしょう。
あなたの市場価値を正しく評価してくれる企業と出会うために、まずは無料相談から始めてみてはいかがでしょうか。

応エン