エンジニアリングマネージャーへの転職を成功させる全知識|必要なスキルから面接対策まで徹底解説
エンジニアリングマネージャーへの転職をお考えですか?本記事ではEMの役割や必要スキル、未経験からの挑戦、年収、具体的な選考対策までを完全網羅。あなたのキャリアチェンジを成功に導きます。
キャリアパス診断してみる「シニアエンジニアとして技術力には自信がついてきた。でも、この先のキャリアはどうしよう…」
「チームリーダーとして後輩の指導はしているけど、本格的なマネジメントは未経験。自分にエンジニアリングマネージャー(EM)なんて務まるだろうか?」
もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、この記事はあなたのためのものです。
技術の道を極めるだけでなく、チームや組織を成長させる「エンジニアリングマネージャー」というキャリアパスが、今多くのWeb系企業で注目されています。
しかし、いざエンジニアリングマネージャーへの転職を考え始めると、「どんなスキルが必要なの?」「未経験でもなれるの?」「職務経歴書や面接で何をアピールすればいい?」といった新たな疑問や不安が次々と湧いてきますよね。
ご安心ください。この記事では、これまで多くのエンジニアのキャリア支援を行ってきた我々の知見を基に、シニアエンジニアからEMへの転職を成功させるための具体的な書き方やノウハウを、体系的かつ実践的なステップで徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはEM転職への漠然とした不安が解消され、「自分ならできる」という自信と、次にとるべき明確なアクションプランを手に入れているはずです。
はじめに:シニアエンジニアが「次のキャリア」に悩む理由
「このままでいいのか?」技術の専門家から組織の成長を担う存在へ
シニアエンジニアとして数々のプロジェクトを牽引し、技術的な課題を解決してきたあなた。その経験は非常に価値あるものです。しかし、キャリアを重ねるにつれ、ふとこんな思いがよぎることはありませんか?
- 個人の成果だけでなく、チーム全体のアウトプットを最大化することに興味が出てきた
- 後輩の成長を見ることに、コードを書くのと同じくらいの喜びを感じるようになった
- 事業やプロダクトの成功にもっと直接的に貢献したい
その感情は、あなたがプレイヤーからマネージャーへと視野が広がり始めている証拠です。そして、そのキャリアチェンジの有力な選択肢が「エンジニアリングマネージャー」なのです。
この記事は、そんなキャリアの岐路に立つあなたの背中を押し、新しい挑戦を成功に導くための羅針盤となることをお約束します。
まずは正しく理解する|エンジニアリングマネージャー(EM)の役割とは?
EMへの転職活動を始める前に、その役割を正しく理解することが不可欠です。なぜなら、面接では「あなたはEMの役割をどう理解し、どう貢献したいですか?」と必ず問われるからです。
EMのミッションは「エンジニアリング組織の成果最大化」
一言で言うと、EMのミッションは「人と組織を通じて、エンジニアリングチームのパフォーマンスを最大化すること」です。
自分がコードを書くのではなく、チームメンバーが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、事業の成功に技術で貢献することがEMの価値となります。
テックリードやVPoEとの役割の違いは?
EMと混同されがちな役職に「テックリード」や「VPoE」があります。それぞれの違いを明確にしておきましょう。
役職 | 主な役割・責任範囲 |
テックリード | 特定のプロダクトやチームの技術的な意思決定に責任を持つ。技術選定や設計、コードレビューなどが主な役割。技術のHowを追求する。 |
エンジニアリングマネージャー(EM) | エンジニアの目標設定、評価、育成、採用といったピープルマネジメントに責任を持つ。組織のWho/Whatを最適化する。 |
VPoE | 複数のEMを束ね、エンジニアリング組織全体の戦略に責任を持つ。技術文化の醸成や経営層との連携が主な役割。 |
テックリードが「技術」のスペシャリストなら、EMは「組織と人」のスペシャリストと言えるでしょう。
具体的な仕事内容:ピープル、プロダクト、テクノロジーの3軸
EMの仕事は多岐にわたりますが、主に以下の3つの軸で整理できます。
- ピープルマネジメント:
- メンバーとの1on1ミーティング
- 目標設定と評価、フィードバック
- キャリア開発の支援(育成)
- エンジニアの採用活動
- プロダクト/プロジェクトマネジメント:
- プロダクトマネージャーや他部署との連携
- 開発プロセスの改善(スクラムなど)
- プロジェクトの進捗管理とリスク管理
- テクノロジーマネジメント:
- 技術的負債の解消計画
- チームの技術力向上戦略
- 技術的な意思決定のサポート
これらの全てを完璧にこなすというよりは、企業のフェーズやチームの状況によって、求められる役割の比重が変わってきます。
あなたの経験は武器になる!EM転職で求められる3つのコアスキル
「マネジメント未経験なのに、アピールできるスキルなんてあるだろうか…」と不安に思う必要はありません。あなたのシニアエンジニアとしての経験の中に、EMに通じるスキルは必ず眠っています。
スキル1:ピープルマネジメント能力(育成・評価・採用)
EMの最重要スキルです。たとえ役職がなくても、以下のような経験があれば十分にアピール可能です。
- 育成: 後輩エンジニアのコードレビューや技術相談に乗った経験
- 評価: チームメンバーの貢献をリーダーにフィードバックした経験
- 採用: 採用面接に同席したり、候補者のスキルチェックをした経験
これらの経験は、立派なピープルマネジメントの一歩です。
スキル2:技術的知見とプロジェクトマネジメント能力
EMは自らコードを書く機会は減りますが、技術的な会話をリードし、適切な意思決定をサポートするためには、高い技術的知見が不可欠です。
- システム全体のアーキテクチャを理解している
- 技術選定の議論に参加し、メリット・デメリットを説明できる
- 開発プロジェクトをリードし、スケジュール通りにリリースした経験
これまでのエンジニアとしての実績そのものが、この領域での強みとなります。
スキル3:ビジネス視点と組織課題解決能力
エンジニアリングを「事業を成長させるための手段」と捉え、ビジネス課題を技術でどう解決するかを考える視点です。
- 「なぜこの機能が必要なのか」をビジネスサイドに確認し、要件を整理した経験
- 開発プロセスの非効率な点を見つけ、改善提案をした経験
- チーム内のコミュニケーション課題を解決するために、新しいツールを導入した経験
こうした「課題発見・解決」の経験は、EMとして組織全体の課題に取り組む上で非常に重要です。
未経験からEMへ!転職を成功に導く5つの実践ステップ
ここからは、実際にエンジニアリングマネージャーへの転職を成功させるための具体的な5ステップをご紹介します。
STEP1:自己分析 - これまでの経験を「マネジメント言語」に翻訳する
まずは、これまでのキャリアを棚卸ししましょう。重要なのは、エンジニアとしての経験を、先ほど紹介したEMの3つのコアスキルに当てはめて「翻訳」することです。
(例)
- エンジニア経験: 「新規プロジェクトで、若手3名のコードレビューと技術サポートを担当した」
- マネジメント言語への翻訳: → 「メンバーのスキルレベルに応じた指導を行い、チーム全体のコード品質向上に貢献。育成経験あり。」
この「翻訳」作業が、職務経歴書や面接での強力な武器になります。
STEP2:情報収集 - 理想のEM像と企業の求める人物像を掴む
次に、情報収集です。書籍やブログでEMの役割を学ぶだけでなく、実際にEMとして働いている人の話を聞くのが最も効果的です。
- 社内外の勉強会やイベントに参加する
- SNSなどで気になるEMにコンタクトを取ってみる
- 転職エージェントに相談し、様々な企業のEM求人の実情を聞く
特に、企業がどんな課題を抱えていて、どんなEMを求めているのかを知ることは、ミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。
STEP3:書類準備 - 職務経歴書で「EMとしてのポテンシャル」を示す書き方
職務経歴書では、単なる業務経歴の羅列はNGです。「私はEMとして、このように貴社に貢献できます」というポテンシャルを明確に示しましょう。
【職務要約のポイント】
- 冒頭でEMへのキャリアチェンジを希望していることを明記
- これまでのリーダー経験やチームへの貢献(育成、プロセス改善など)を強調
【業務経歴のポイント】
- プロジェクト概要だけでなく、「自身の役割」と「工夫した点・成果」をセットで記述
- 数字(チーム人数、改善率、削減時間など)を用いて、成果を具体的に示す
STEP4:面接対策 - 「なぜEMなのか?」を自分の言葉で語る準備
面接で最も重要な質問は「なぜ技術のスペシャリストではなく、EMの道を選んだのですか?」です。
この質問に、あなた自身の原体験に基づいたストーリーで答えられるように準備しましょう。
(回答例)
「これまで技術で課題を解決することにやりがいを感じてきましたが、後輩の成長をサポートし、チームとして大きな成果を出せた時に、それ以上の喜びを感じました。今後は個人の力だけでなく、チームや組織を成長させることで、より大きな事業貢献を果たしたいと考えています。」
過去の経験(Fact)と、そこから生まれた感情・価値観(Emotion)を結びつけて語ることが、説得力を生みます。
STEP5:現職での実践 - 小さなチームやプロジェクトで実績を作る
もし転職活動と並行して可能であれば、現職でマネジメントに近い経験を積むことを強くお勧めします。
- 自分からチームリーダーに立候補する
- 勉強会の企画・運営を行う
- チームの課題(開発プロセス、コミュニケーションなど)を見つけ、改善活動をリードする
たとえ小さな一歩でも、「自ら動いて実績を作った」という事実は、転職活動において非常に強力なアピールポイントになります。
気になる疑問を解消!エンジニアリングマネージャー転職Q&A
Q. 技術の最前線から離れるのが不安です。
A. その不安は多くのEM候補者が抱くものです。しかし、EMは完全に技術から離れるわけではありません。むしろ、アーキテクチャのレビューや技術選定の議論、メンバーの技術的相談に乗るなど、より俯瞰的な視点で技術に関わることになります。ハンズオンでコードを書く時間は減りますが、技術で組織に貢献する新しい面白さを見つけられるはずです。
Q. マネジメント経験がなくても本当に転職できますか?
A. 可能です。多くの企業は、完成されたマネージャーよりも、高い技術力とリーダーシップのポテンシャルを持ったシニアエンジニアを求めています。この記事で解説したように、これまでのリーダー経験や後輩育成の経験を「マネジメントスキル」として言語化し、アピールすることができれば、未経験からでもEMへの転職は十分に実現できます。
Q. EMの平均年収はどれくらいですか?
A. 企業の規模や業界、個人のスキルによって大きく異なりますが、一般的にはシニアエンジニアからEMに転職することで年収がアップするケースが多いです。目安としては、スタートアップからメガベンチャーまで幅広く見ると、700万円〜1,500万円程度のレンジがボリュームゾーンとなります。より具体的な年収相場や、あなたの市場価値については、ぜひ我々のような転職エージェントにご相談ください。
まとめ:自信を持って、エンジニアリングマネージャーへの第一歩を踏み出そう
今回は、シニアエンジニアからエンジニアリングマネージャーへの転職を成功させるためのロードマップを解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- EMの役割を正しく理解する: ミッションは「エンジニアリング組織の成果最大化」
- 自分の経験を翻訳する: エンジニア経験を「マネジメントスキル」として言語化する
- 準備を徹底する: 自己分析から情報収集、書類・面接対策まで、一つずつ丁寧に進める
- 小さな実績を積む: 現職でマネジメントに近い経験を意識的に行う
EMへの道は、決して簡単なものではありません。しかし、それはあなたのキャリアを大きく飛躍させ、コードを書く喜びとはまた違う、チームと事業を育てるという大きなやりがいを与えてくれます。
この記事で得た知識を武器に、ぜひ自信を持って、エンジニアリングマネージャーへの第一歩を踏み出してください。あなたの挑戦を、心から応援しています。

応エン