「Webエンジニアの給料は安い」は誤解？年収が上がらない本当の理由と年収1000万への脱出ルート

「毎日深夜までコードを書いているのに、手取りはこれだけ…？」
「ニュースではIT人材不足で高給と言われているのに、自分とは無縁の世界に感じる」

いま、この記事を読んでいるあなたは、そんな「Webエンジニアとしての給料の安さ」にモヤモヤを抱えているのではないでしょうか。

結論から申し上げます。Webエンジニアの給料が安いというのは、半分正解で、半分間違いです。

実は、Webエンジニアの年収は「極端な二極化」が進んでいます。同じようなスキルセットを持っていても、「どこで働くか」「どのようなポジションにいるか」だけで、年収が200万〜300万円も変わることは珍しくありません。

もしあなたが今、「頑張っているのに報われない」と感じているなら、それはあなたの努力不足ではなく、「努力する場所」を間違えているだけかもしれません。

この記事では、Webマーケティングとエンジニア採用の最前線を見てきた筆者が、給料が安くなってしまう「業界の構造的な原因」と、そこから抜け出して確実に年収を上げるための具体的なロードマップを解説します。

これを読み終える頃には、あなたは「次に何をすべきか」が明確になり、自信を持ってエンジニアとしてのキャリアを歩み直せるはずです。

なぜ「Webエンジニアの給料は安い」と言われるのか？【衝撃の現実】

まず、客観的なデータを見てみましょう。「Webエンジニアは稼げない職業」なのでしょうか？

データで見るWebエンジニアの平均年収と「格差」

レバテックキャリアのデータを参照すると、Webエンジニアの平均年収は約450万円〜550万円程度です。日本の全職種の平均年収が約460万円である（令和4年 民間給与実態統計調査参照）ことを考えると、「平均的には決して安くはない」ことがわかります。

しかし、ここで注目すべきは平均値ではなく「中央値」と「分布」です。
Webエンジニアの世界には、年収300万円台で疲弊する層と、年収1000万円を超える層が混在しており、この格差が非常に激しいのが特徴です。

「きつい・帰れない・給料安い」の3K現場が存在する理由

なぜ同じ職種なのにこれほどの差が生まれるのでしょうか？
それは、IT業界特有のビジネスモデルに原因があります。

特に問題視されているのが、いわゆる「デジタル土方」と揶揄されるような環境です。システム開発の現場では、発注元から実際に作業をする会社までの間に何社も仲介が入ることがあります。この構造の末端にいると、どれだけ高度なコードを書いても、会社の利益構造上、給料を上げることが物理的に不可能なのです。

「給料が安い」と感じる人の多くは、スキルが低いのではなく、この「利益が出にくい構造の中」に閉じ込められている可能性が高いのです。

あなたの給料が上がらない3つの構造的な原因

では、具体的にどのような状況が「低賃金」を招いているのでしょうか。主な原因は以下の3つです。

原因①：多重下請け構造（SES・SIer）の「下流」にいる

これが最も大きな要因です。
日本のIT業界はゼネコンのような「多重下請け構造」になっています。

1. 元請け（プライムベンダー）： クライアントから直接仕事を受注。利益率が高い。
2. 2次請け、3次請け： 元請けから仕事をもらう。マージン（仲介手数料）が抜かれるため、売上が減る。
3. 下請けの末端（一部のSESなど）： さらにマージンが抜かれ、会社に残る利益はごくわずか。

もしあなたが3次請け、4次請けのSES企業（客先常駐）で働いている場合、あなたの単価は構造的に低く抑えられています。この場所でどれだけプログラミングスキルを磨いても、会社に入ってくるお金自体が少ないため、大幅な給料アップは望めません。

原因②：会社の「評価制度」がエンジニアの実力に見合っていない

「営業職は売上で評価されるが、エンジニアの評価基準が曖昧」という会社は少なくありません。

特に、Web制作会社や古い体質の企業では、技術的な難易度やコードの品質よりも、「納期を守ったか」「上司に気に入られているか」が評価の主軸になることがあります。
技術力でビジネスに貢献しても、それが正当に給与に反映されない仕組みであれば、給料はいつまで経っても上がりません。

原因③：コモディティ化した「枯れた技術」だけで勝負している

Web技術の進歩はドッグイヤー（犬の1年は人間の7年に相当するほど早い）と言われます。
もしあなたが、10年以上前の技術スタック（例えば、レガシーなPHPのフレームワークや、静的なHTML/CSSコーディングのみ）だけで仕事をしている場合、市場価値はどうしても下がります。

「誰でもできる仕事」や「AI（ChatGPTなど）で代替可能なコード記述」に留まっている場合、給料を上げる交渉材料が乏しくなってしまいます。

「給料が安い」状態から抜け出す！年収アップのための5つの戦略

原因がわかれば、対策は打てます。ここからは、現状を打破し、年収を確実に上げるための具体的なアクションプランを紹介します。

戦略①：自社開発企業または元請けSIerへ転職する

最も手っ取り早く、かつ確実性が高いのが「利益率の高い会社へ場所を移す」ことです。

• 自社開発企業（Web系事業会社）： サービスの売上が直接利益になるため、利益率が高く、エンジニアへの還元率も高い傾向にあります（例：メガベンチャー、SaaS企業）。
• 元請け（プライム）SIer： クライアントと直接契約するため単価が高く、上流工程に関われるため年収ベースが高くなります。

今のスキルそのままでも、働く場所（商流）を変えるだけで年収が100万〜150万アップする事例はザラにあります。自分の市場価値を正しく評価してくれる環境へ移動することは、決して「逃げ」ではありません。

戦略②：フルスタックまたは特定領域のスペシャリストを目指す

「フロントエンドもバックエンドも一通り触れる（フルスタック）」、あるいは「AWSやGCPなどのクラウドインフラ構築に強みがある」「Go言語やRustなど需要に対し供給が少ない言語ができる」といった希少性を高めましょう。

「代わりのいないエンジニア」になれば、給与交渉でも転職市場でも圧倒的に有利になります。

戦略③：上流工程（要件定義・設計）の経験を積む

コードを書くだけでなく、「どんなシステムを作るべきか」「どうすればビジネス課題を解決できるか」という上流工程（要件定義・設計）に関わることで、年収のレンジは一段階上がります。

現在の職場でリーダー職に立候補したり、設計書作成を積極的に担当したりすることで実績を作りましょう。

戦略④：副業・フリーランスで市場価値をテストする

会社からの給料だけに依存せず、副業で案件を受けてみるのも一つの手です。
直契約であれば、仲介マージンがないため、時給換算で本業の2〜3倍になることも珍しくありません。

「自分のスキルは、社外でいくらで売れるのか？」を知ることは、給料への不満を解消する大きな自信に繋がります。

戦略⑤：給与交渉を行う（ただし難易度は高め）

現在の上司に「何を達成すれば給料が上がるのか」を具体的に確認し、交渉するのも一つの手段です。ただし、前述した「構造的な問題（下請け構造）」がある場合、上司がどれだけ良い人でも給料を上げられないケースが多いため、見極めが必要です。

結局、一番のリスクは「動かないこと」

ここまで読んで、「自分も環境を変えれば年収が上がるかも…」と思った方は、その直感を信じてください。

しかし、いきなり退職届を出すのはリスクが高すぎます。まずは「自分の市場価値を把握する」ことから始めましょう。

転職エージェントに登録し、「自分の今のスキルなら、どんな会社でいくらくらいのオファーが出るか？」を聞いてみるだけで、視界が一気に開けます。多くのエージェントは無料で相談に乗ってくれますし、今すぐ転職する気がなくても利用可能です。

自分の可能性を知ることは、無料かつノーリスクです。まずは一歩、情報収集から始めてみてください。

よくある質問（Q&A）

Q1. フロントエンドとバックエンド、どっちが給料高いですか？

A. 傾向としてはバックエンドの方がやや高いですが、差は縮まっています。
以前はバックエンドの方が高年収の傾向がありましたが、最近はReactやVue.jsなどフロントエンドの技術が高度化しており、高度なフロントエンドエンジニアの年収は非常に高騰しています。どちらを選ぶかよりも、「その領域でどれだけ深い専門性があるか」が重要です。

Q2. 30代未経験からでも年収は上がりますか？

A. 最初は一時的に下がる可能性がありますが、長期・中期的には上がる可能性が高いです。
異業種からの転職の場合、最初は修行期間として年収が下がることが一般的です。しかし、Webエンジニアは実力主義の世界なので、スキルを習得すれば2〜3年で前職の年収を大きく超えることも十分に可能です。

まとめ：Webエンジニアの未来は明るい。環境を変える勇気を持とう

「Webエンジニアの給料が安い」というのは、あくまで「構造的に恵まれていない場所にいるエンジニア」の話です。

Webエンジニアという職種自体は、DX（デジタルトランスフォーメーション）が進む現代において、最も市場価値が高く、将来性のある職種の一つであることは間違いありません。

• 多重下請けの底辺から脱出する
• 市場価値の高いスキルを身につける
• 自分を高く買ってくれる会社へ移動する

この3点を意識して行動すれば、年収アップは決して難しい夢ではありません。
「安い給料で使い倒されるエンジニア」で終わるか、「技術を武器に高収入を得るエンジニア」になるか。それは、これからのあなたの行動次第です。

あなたのエンジニアとしての価値が正当に評価される日が来ることを、心から応援しています。