【SESエンジニア向け】診断書を利用した安全な退職手順と引き止め対策完全ガイド
SESで心身の不調を感じているエンジニアへ。診断書を使った退職手続き、休職との違い、会社からの引き止め対策を弁護士監修の知識に基づき徹底解説。健康を最優先した退職を実現しましょう。
キャリアパス診断してみるなぜSESエンジニアは「診断書」を必要とするのか?
もしあなたが今、客先常駐のストレス、長時間労働、人間関係などで心身の不調を感じ、「もうこれ以上働けない」と限界を感じているなら、まずご自身の健康を最優先してください。
SES企業に勤めるエンジニアにとって、「医師の診断書」は、健康を回復し、安全かつ円満に退職するための強力なツールとなります。
SES特有の退職の難しさ(プロジェクトの責任、引き継ぎ問題)
SESエンジニアの退職が難しいと感じられる主な理由は、企業側の論理にあります。
- プロジェクトの穴埋め責任: 会社は「契約解除による顧客への迷惑」「次の要員が見つかるまでの期間」を盾に、強く引き止めにかかります。特に中小のSES企業では、人員不足を理由に「辞められると困る」という感情論を持ち出しがちです。
- 客先との契約: 会社はあなたを「商品」として捉えているため、体調不良であっても「契約期間中は働け」という圧力をかけやすい構造があります。
しかし、これらの会社の都合は、あなたの「退職の権利」や「健康に働く権利」よりも優先されることはありません。
診断書がもたらす最大の効果と法的根拠
診断書は、あなたが「会社側の業務によって健康被害を受けている」ことを、医師という第三者が客観的に証明する公的な書類です。
診断書を提出することで、以下の2つの大きな効果が得られます。
1. 法的な退職交渉の根拠になる
労働者には、原則として退職の自由が保証されています(民法627条)。通常は2週間前に退職の意思を伝える必要がありますが、心身の健康被害は「やむを得ない事由」に該当し、場合によっては即日退職の根拠になり得ます。
2. 会社側の「安全配慮義務違反」を問う材料になる
会社には、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)があります。診断書は、会社がこの義務を果たさなかった結果、あなたが体調を崩したという証拠として機能するため、会社は引き止めにくくなります。
診断書を使った退職の全体像と手順
診断書を取得してから退職に至るまでのプロセスは、以下の3ステップで進めるのが最も安全です。
Step 1: 医療機関を受診し、医師の診断書を取得する
まず、心療内科、精神科、または内科を受診してください。重要なのは、現在のあなたの症状を正確に医師に伝えることです。
診断書に記載してもらうべき重要事項:
- 病名(例:適応障害、うつ状態など)
- 必要な療養期間(例:自宅療養を要する期間)
- 就業制限の必要性(例:現在の業務を継続することは不可能である、休職が必要である)
診断書は、会社への提出用と、ご自身で保管する用として、2〜3部発行してもらうことを推奨します。
Step 2: 「休職」か「退職」か、自分の選択肢を明確にする
診断書を取得した後、あなたは「休職」するか「退職」するかの選択を迫られます。この判断は非常に重要です(詳細は次のセクションで解説します)。
Step 3: 会社へ診断書と意思を伝える(提出のタイミングと伝え方)
会社に退職の意思を伝える際は、感情的にならず、以下の3点を冷静に、書面で伝えてください。
- 診断書の提出: 医師の診断書を添付します。
- 退職理由の明記: 「心身の健康被害により、現在の業務継続が困難なため」と簡潔に記します。
- 退職希望日の明記: 原則2週間後以降の日付を書きます。ただし、即日退職を希望する場合は、診断書を根拠に即時解約を希望する旨を付記します。
【注意点】 口頭ではなく、必ず退職届という書面(またはメール)で意思表示を行ってください。これにより、「言った言わない」のトラブルを防げます。
【重要】「休職」と「退職」の選択肢と判断基準
診断書がある場合、会社側はまず「休職」を勧めてくる可能性が高いです。それぞれのメリット・デメリットを理解し、最善の選択をしましょう。
休職を選択するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
|---|---|
傷病手当金が受給できる(生活費の心配が少ない) | 会社に籍が残るため、復帰へのプレッシャーを感じやすい |
復帰後に部署異動や職種変更の交渉ができる | 休職期間満了後に退職となるケースが多く、退職日が延びる |
健康保険や厚生年金などの社会保険が継続される | 会社によっては休職期間が給与の対象外となる |
退職を選択するメリット・デメリット(即日退職の可能性)
メリット | デメリット |
|---|---|
会社との関係を完全に断ち切り、療養に専念できる | 傷病手当金は退職後も条件を満たせば受給可能だが、手続きが複雑になる |
退職日が確定し、次のステップに進みやすい | 失業保険(雇用保険)の受給開始が遅れる可能性がある |
引き継ぎや残務処理の義務から解放される | 健康保険を任意継続するか、国民健康保険に切り替える必要がある |
判断基準:
- 会社に戻る可能性が少しでもあるか? → 休職
- 二度とこの業界・会社に戻りたくないか? → 退職
心身の状態が非常に悪く、一刻も早く会社から離れたい場合は、迷わず退職を選択すべきです。
会社からの強い引き止めへの具体的な対策
SES企業は、診断書を提出してもなお、感情論やプロジェクトの責任を持ち出して引き止めを試みることがあります。これらに対処するための具体的な手段を解説します。
「プロジェクトの穴埋め」を理由にした引き止めへの対処法
「君が辞めるとプロジェクトが炎上する」「顧客に迷惑がかかる」といった引き止めは、すべて会社側の都合です。以下の通り毅然と対応してください。
「私の健康状態は医師の診断書で証明されている通り、就業不可能な状態です。貴社には安全配慮義務がありますが、現状それが果たされていません。プロジェクトの要員手配は私の責任ではなく、貴社の責任です。法に基づき、○月○日をもって退職させていただきます。」
あなたの健康被害が会社の業務によって引き起こされた場合、会社はあなたに損害賠償を請求することはできません。
法的に有効な退職の意思表示の方法(内容証明郵便の活用)
口頭や通常のメールでは、会社が「退職届を受け取っていない」と主張する可能性があります。会社が退職届の受け取りを拒否した場合、以下の方法で意思表示を完了させてください。
内容証明郵便の活用:
退職届を「内容証明郵便」で会社に送付します。これにより、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容」の文書を送ったか、郵便局が公的に証明してくれます。この通知が会社に届いた日から、民法上の退職通知期間(2週間)のカウントが開始されます。
診断書とセットで使える「退職代行」という選択肢
精神的に追い詰められ、会社との連絡や交渉自体が苦痛である場合、退職代行サービスの利用も有効な手段です。
特に、労働組合または弁護士が運営する退職代行サービスであれば、診断書を根拠として会社との交渉(有給消化や即日退職の交渉)を法的に進めることができます。費用はかかりますが、心身の回復を最優先できる「逃げ道」として検討する価値は十分にあります。
診断書に関するよくある質問(FAQ)
診断書は誰に提出すべきですか?
原則として、人事部門または直属の上司に提出します。ただし、直属の上司に相談しにくい場合は、産業医や人事部門へ直接提出することも可能です。診断書を提出する際は、必ずコピーを控えとして保管しておきましょう。
診断書があれば本当に即日退職できますか?
「診断書がある=即日退職」が自動的に成立するわけではありませんが、可能性は高まります。即日退職が認められるのは、心身の健康被害が極めて重篤で、労働契約を継続することが生命や健康に重大な危険を及ぼす「やむを得ない事由」と判断された場合です。会社が拒否しても、法的な専門家(弁護士や代行サービス)を通じて交渉することで、退職日を早められるケースが多いです。
診断書の内容は会社に開示されますか?
会社は従業員の健康情報について守秘義務があります。病名や詳細な症状を会社が不必要に開示することはありません。ただし、業務継続の可否を判断するために、診断書に記載された「療養期間」や「就業制限」の部分は開示されます。
まとめ:心身の健康を最優先に行動を
SESエンジニアが診断書を利用して退職を進めることは、決して逃げではありません。それは、ご自身の健康を守り、より良いキャリアを再構築するために必要な、合理的な行動です。
診断書は、感情論ではなく客観的な事実に基づき、あなたの退職の権利を強く主張するための「盾」となります。退職手続きは複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ手順を踏めば必ず実現できます。
まずは医療機関を受診し、ご自身の心身の状態を把握することから始めてください。あなたの健康と未来が、今の仕事よりもずっと大切です。
職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手
「一通り書いてみたけど、本当にこれで良いか客観的な意見が欲しい…」
「自分の市場価値が分からず、どんな企業に応募すれば良いか迷っている…」
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