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SESエンジニアへ:サービス残業の強要から脱出する完全対処法

SESでサービス残業を強要され悩むエンジニアへ。違法性の解説から、具体的な証拠の集め方、未払い残業代の請求、優良企業への転職まで、あなたの労働環境を改善するための全手順を解説します。

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はじめに:SESのサービス残業は「違法」です。泣き寝入りする前に知るべきこと

「毎日終電まで働いているのに、残業代は1円も出ない」「上司に相談しても『スキルアップのためだ』と精神論で片付けられる」もしあなたが今、SES企業でサービス残業を強要され、心身ともに疲弊しているならば、すぐに立ち止まってください。結論から言います。業務上の必要性があって行われた残業に対して、会社が賃金を支払わない行為は労働基準法違反(賃金不払い)にあたる明白な違法行為です。サービス残業は美談でも、エンジニアの宿命でもありません。これはあなたの会社があなたに強要している「労働犯罪」です。客先常駐という特殊な環境下にあるSESエンジニアだからこそ、泣き寝入りせずに、自分の権利を守るための具体的な「対処法」と「脱出戦略」を理解する必要があります。この記事では、サービス残業の違法性の根拠から、残業代を請求するための具体的な証拠の集め方、そして根本的に問題を解決するための優良企業への転職戦略まで、あなたが健全な労働環境を取り戻すための全手順を解説します。

サービス残業が生まれるSES特有の構造

なぜSES企業でサービス残業が生まれやすいのでしょうか。これは、SES(システム・エンジニアリング・サービス)というビジネスモデル特有の構造に起因します。SES企業は、エンジニアの労働時間を売ることで利益を得ています。客先(エンドクライアント)との契約単価は固定されているため、エンジニアの残業が増えるほど、自社の利益が圧迫されます。このため、自社(SES企業)は「残業代を払いたくない」という動機が強く働きます。一方、客先では「契約時間内で終わらせてほしい」というプレッシャーがあります。この板挟みの中で、現場のエンジニアが残業を強いられ、それを自社が黙認・強要することでサービス残業が発生するのです。特に新卒や経験の浅いWebマーケティング担当者は、「現場の雰囲気を壊してはいけない」「評価が下がるのではないか」という不安から、不当な要求を受け入れてしまいがちです。

あなたの行為は「会社への貢献」ではなく「違法行為の幇助」である

「スキルアップのため」「会社への貢献」といった言葉でサービス残業を正当化する上司がいますが、これは完全に誤りです。労働基準法第37条は、法定労働時間を超える労働(残業)に対しては、25%以上の割増賃金を支払うことを義務付けています。サービス残業は、この法律を無視した行為です。あなたが残業代を請求せずに働き続けることは、会社が違法行為を続けることを許容しているに他なりません。まずは「サービス残業は違法であり、自分には残業代を受け取る権利がある」という認識を強く持つことが、行動の第一歩です。


【第一段階】サービス残業の「証拠」を完璧に集める手順

会社に対して未払い残業代を請求したり、労働基準監督署(労基署)に申告したりする際、最も重要になるのが「客観的な証拠」です。口頭での主張だけでは水掛け論になりがちです。特に客先常駐の場合、自社と客先の勤怠記録が食い違うケースも多いため、いかに第三者視点で証明できるかが鍵となります。

最も重要な証拠:客観的な勤怠記録

会社が管理しているタイムカードや勤怠システムではなく、あなたが実際に働いた時間を証明できる客観的な記録が必要です。証拠は多ければ多いほど、あなたの主張の信頼性が増します。

具体的な証拠のリストと集め方

チェックリスト

証拠の種類

集め方・ポイント

なぜ重要か

1. 独自の勤怠記録

毎日、出勤・退勤時刻をメモ、手帳、あるいはスマートフォンのアプリで記録する。打刻前後の時間を記録する。

最も基本的な証拠。客観性を高めるため、GPS機能付きのアプリ利用も推奨。

2. PCの利用履歴(ログ)

PCの起動・シャットダウン時刻、メール送信履歴、チャットツール(Slack/Teamsなど)の送信履歴のスクリーンショット。

会社が残業を把握していたこと、または業務を行っていた客観的な証拠。

3. 業務指示のメール/チャット

上司や客先からの「このタスクを今日中に終わらせてほしい」「残業して対応してくれ」といった指示の文面。

会社が残業を命じていた、または黙認していた証拠。

4. 入退室記録

客先のセキュリティゲートの通過記録、または自社オフィスの入退室記録。

物理的にその場にいたことを証明できる。

5. 同僚・元同僚の証言

サービス残業が常態化していたことを証明してくれる同僚からの証言(書面があればベスト)。

環境全体の問題であることを補強する。

証拠は必ず、会社のPCやクラウドではなく、個人のスマートフォンや外部ストレージに保存してください。会社PCのデータは、退職時にアクセスできなくなる可能性があるためです。

注意点:会社提出用の勤怠記録は信用しない

サービス残業を強要する会社は、しばしば「定時で退勤したことにしておけ」と指示します。この会社提出用の勤怠記録(タイムシート)は、あなたの主張を裏付ける証拠としては使えません。むしろ、実際の労働時間と乖離していることを証明するために、両方の記録を比較できるように保存しておく必要があります。


【第二段階】会社・上司への交渉・残業代請求の具体的な流れ

証拠が揃ったら、いよいよ行動に移ります。交渉は感情的にならず、論理的に、そして法的な根拠に基づいて進めることが重要です。

まずは直属の上司に相談する(記録を残す)

まずは、直属の上司や人事部に相談し、現状を改善する機会を会社に与えます。この際、「サービス残業の改善」と「過去の未払い残業代の支払い」を要求します。重要なのは、相談内容と会社の回答をすべてメールや録音で記録に残すことです。会社がこの段階で無視したり、不当な扱いをしたりした場合、それは後の残業代請求や労基署への申告において、「会社側に改善の意思がなかった」という強力な証拠になります。

内容証明郵便で会社に未払い残業代を請求する

会社が話し合いに応じない場合、弁護士を立てる前に、ご自身で内容証明郵便を利用して正式に未払い賃金を請求します。内容証明郵便は、いつ、誰が、誰に、どのような内容を送ったかを郵便局が証明してくれるため、法的な手続きの証拠となります。この段階で、多くの企業は訴訟リスクを回避するため、交渉に応じる可能性が高まります。

労働基準監督署への申告(メリットとデメリット)

労基署は、労働基準法違反を取り締まる行政機関です。証拠を提出して申告すれば、労基署が会社に立ち入り調査(臨検)を行い、是正勧告を出してくれる可能性があります。

  • メリット: 費用がかからない。会社へのプレッシャーが大きい。
  • デメリット: 労基署は「未払い残業代の回収代行」はしてくれない。あくまで「違法状態の是正」が目的なので、回収は別途民事手続きが必要になる。

弁護士・労働審判による解決

会社が最後まで支払いを拒否する場合や、請求額が高額な場合は、労働問題に強い弁護士に依頼し、労働審判(裁判所による迅速な解決手続き)や訴訟に進むことになります。弁護士に依頼するメリットは、すべての手続きを代行してもらい、精神的な負担を減らせる点です。


【根本解決】サービス残業のない優良SES・自社開発企業への転職戦略

サービス残業から完全に脱却する最も確実で迅速な方法は、その体質を持つ会社を辞めることです。労働環境は会社を選ぶ上で最も重要な要素であり、サービス残業を強要する企業に未来はありません。

SESのブラック企業が使う「残業代を払わない手口」

転職活動をする上で、次に引っかからないために、ブラック企業がよく使う手口を知っておきましょう。

  1. 「みなし残業代」の悪用: 「みなし残業」として毎月一定額を支払っているから残業代は不要、と主張する。しかし、みなし時間を超えた残業に対しては、追加で残業代を支払う義務があります。
  2. 管理職扱い: 実態は一般社員なのに、「名ばかり管理職」として扱い、残業代の支払いを免れようとする。
  3. 勤怠管理の改ざん: 実際の労働時間ではなく、客先への請求ベースの時間で勤怠を改ざんさせる。

優良企業を見抜くためのチェックリスト

サービス残業のない優良なSES企業や自社開発企業を見つけるためには、以下の点を徹底的に確認してください。

チェック項目

確認方法

1. 採用選考時の対応

面接で「残業代は全額支給されますか?」「勤怠管理はどのように行っていますか?」と具体的に質問し、明確な回答があるか。

2. 勤怠管理の透明性

会社がどのようなシステム(タイムカード、PCログ、入退室履歴など)で残業時間を把握しているかを確認する。

3. 企業口コミサイト

「残業代」「サービス残業」といったキーワードで検索し、現役社員や元社員の生の声を確認する。(ただし、ネガティブな意見だけを鵜呑みにしないこと)

4. 離職率

離職率が異常に高くないか(一般的に10%以下なら健全とされます)。

5. 福利厚生・手当

交通費以外の住宅手当や家族手当、資格手当などが充実しているか(社員を大切にする姿勢の表れ)。

転職活動中にサービス残業の証拠をまとめるべき理由

転職を決意した場合でも、証拠集めは継続してください。もし退職後に未払い残業代を請求する事態になっても、証拠があれば非常に有利に進められます。また、転職先の企業に「なぜ転職するのか」を説明する際にも、「労働環境の健全性を求めている」という論理的な理由を提示でき、キャリアに対する真剣さをアピールできます。


まとめ:あなたの労働環境は変えられます

サービス残業の強要は、あなたのキャリアと健康を蝕む重大な問題です。SESという環境に甘んじる必要は一切ありません。

  1. サービス残業は違法であることを認識する。
  2. PCログやメール履歴など、客観的な証拠を徹底的に集める。
  3. 証拠を基に、会社に残業代の支払いを要求する。
  4. 根本解決のために、優良な企業への転職を検討する。

サービス残業のない環境で、正当な対価を得て働くことは、エンジニアとしてのパフォーマンス向上にも直結します。一歩踏み出し、健全な労働環境を手に入れましょう。


職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手

「サービス残業のない企業を見極めたい」「自分の市場価値が分からず、どんな企業に応募すれば良いか迷っている」もし一人で悩んでいるなら、転職のプロであるエージェントに相談するのも非常に有効な手段です。特にIT業界に特化したエージェントは、企業の内部事情や実際の残業状況を熟知しており、あなたの経験やスキルを正しく評価してくれる優良企業を紹介してくれます。あなたの市場価値を正しく評価してくれる企業と出会うために、まずは無料相談から始めてみてはいかがでしょうか。


よくある質問(FAQ)

Q. サービス残業の時効は何年ですか?

未払い残業代の請求権の時効は、賃金支払日から3年間です(2020年4月1日以降に支払日が到来する賃金について)。それ以前のものは2年間でした。早めに行動を起こさないと、請求できる権利が消滅してしまうため注意が必要です。

Q. 「みなし残業代」制度があれば、サービス残業は合法ですか?

いいえ、合法ではありません。「みなし残業代(固定残業代)」は、あらかじめ定められた時間数(例:月20時間)までの残業代を基本給に含めて支払う制度です。しかし、みなし時間を超えて働いた分については、会社は必ず追加で残業代を支払う義務があります。もし超えた分の残業代が支払われていないなら、それはサービス残業です。

Q. 証拠集めがバレたら、会社から不当な扱いを受けませんか?

会社が従業員に対して、残業代請求や労基署への申告を理由に、解雇や降格、減給などの不利益な取り扱いをすることは、不当労働行為にあたり違法です。ただし、証拠集めを悟られないよう、極力目立たない方法(個人のスマホでの記録など)で行うことが賢明です。もし不当な扱いを受けた場合は、それも証拠として残し、弁護士や労基署に相談してください。

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