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SESで給料が上がらない人へ。年収アップの方法を構造・交渉・転職先まで完全整理

SESで給料が上がらず不満を感じる人向けに、年収が上がりにくい構造、還元率・商流・単価の見方、現職でできる交渉、転職で上げる方法まで整理。高還元SESに向いている人もわかります。

SESで何年か働いているのに、給料がほとんど上がらない
案件は変わっているのに年収は変わらない。むしろ責任だけ増えている。そんな不満を抱えている人は少なくありません。

ただ、ここで大事なのは、「自分の努力が足りない」で片づけないことです。
SESで給料が上がらない理由は、本人の実力だけではなく、会社の構造・商流・単価の決まり方・評価制度が強く影響します。

一方で、IT人材全体で見ると、スキルレベルが上がるほど賃金レンジも上がり、転職で賃金が上がる人も一定数います。厚生労働省の job tag では、Webサービス開発のシステムエンジニアに対応する統計で年収574.1万円、有効求人倍率2.57が示されており、さらにITSSレベルが上がるほど年収レンジも上昇しています。つまり、「今のままでは上がりにくい」はあっても、「SES経験者は上がらない」が正解ではありません。 ※SES限定の統計ではないため、最新情報を含めて参考値として見るのが適切です。

この記事では、次の流れで整理します。

  • なぜSESは給料が上がりにくいのか
  • 還元率・商流・単価をどう見ればいいのか
  • 現職で年収を上げる方法
  • 転職で上げる3つの選択肢
  • 高還元SESに行くべき人、行かない方がいい人

受託開発や設計の現場で評価されやすいのは、単に「開発に入った経験」よりも、要件整理、設計、顧客との調整、改善提案、レビュー、障害対応の切り分けまで担えたかです。年数だけ積んでも年収が伸びない人と、同じ数年でも伸びる人の差は、ここでつきやすいです。

SESで給料が上がらないと感じたら、まず知っておきたいこと

SESで年収が伸びにくいのは珍しい悩みではない

SESでは、現場で評価されていても、社内の給与に反映されるまで時間がかかったり、そもそも反映ルールが曖昧だったりします。

よくあるのは次の状態です。

  • 客先では重宝されているのに昇給幅が小さい
  • 案件変更で単価が上がったはずなのに説明がない
  • 評価面談が「頑張っているね」で終わる
  • 保守運用から抜けられず、市場価値が伸びにくい

この不満は自然です。
むしろ、仕組みを知らないまま我慢し続ける方が危険です。

ただし「SESだから絶対に上がらない」わけでもない

SESで給料が上がらない人がいる一方で、上げている人もいます。差が出るのは、単純に根性の有無ではありません。

差がつきやすいのは、主に次の3つです。

  1. どの商流・どの単価帯の案件にいるか
  2. 何を評価される経験として積めているか
  3. 会社が昇給を制度として運用できているか

厚生労働省のIT・デジタル人材調査では、5年以内にIT・デジタル職種へ転職した人のうち、40〜54歳でも転職後に賃金が増加した人の割合は約6割でした。年齢だけで上がらないと決めつける必要はなく、役割と移り方次第で処遇改善は十分ありえます。 ※調査対象はIT・デジタル職種全体です。

なぜSESは給料が上がらないのか

案件単価が上がっても給与にそのまま反映されない

SESは、自社サービスの利益から給料を払うというより、案件単価をベースに人件費や営業コスト、待機リスク、社会保険料、採用費などを回す構造になりやすいです。

そのため、仮にあなたの案件単価が上がっても、

  • すぐには給与改定しない会社
  • 会社全体の原価や待機者コストに吸収する会社
  • 昇給が年1回で反映が遅い会社

では、体感として「何も変わらない」ことが起きます。

ここでの誤解は、単価が上がれば自分の年収も自動的に上がると思ってしまうことです。
実際は、単価上昇と給与反映の間に、会社ごとのルールが入ります。

商流が深いとエンジニアまで届く原資が減りやすい

同じ技術力でも、商流が深い案件に入っていると、元請けから再委託が重なり、現場で働くエンジニアまで届く予算が細くなりやすいです。

その結果、本人の評価が悪くなくても、

  • 単価の天井が低い
  • 交渉余地が小さい
  • 上流経験が取りにくい

という状態に入りやすくなります。

だからこそ、SESで給料が上がらないときは、まず「自分が安く評価されている」のではなく、そもそも商流上の構造が不利ではないかを見る必要があります。

評価制度が曖昧だと昇給理由も不透明になりやすい

給料が上がる会社は、昇給理由もある程度説明できます。

たとえば、

  • 等級がどう上がるのか
  • 何を満たすと単価アップ対象になるのか
  • 単価上昇が給与へどう反映されるのか

が明文化されています。

逆に給料が上がらない会社では、ここが曖昧です。
すると、本人は努力していても、会社の中で評価が処理できない状態になります。

「ピンハネされている」だけでは説明しきれない

SESで給料の不満を語るとき、「ピンハネ」という言葉が使われがちです。
ただ、この言葉だけで理解すると判断を誤ります。

確かに、還元の透明性が低い会社は問題です。
一方で、会社の粗利には営業、教育、待機、採用、福利厚生、社保負担なども含まれます。

見るべきなのは、単に「何%取っているか」ではなく、

  • その取り分に説明があるか
  • 単価上昇が給与に連動する仕組みがあるか
  • 会社に残る意味がある支援や案件獲得力があるか

です。

SESで給料が上がらない人が最初に確認すべき5つのポイント

1. 自分の単価を把握しているか

まず確認したいのは、今の案件単価を把握しているかです。

単価がわからないままだと、

  • 適正に評価されているか
  • 前の案件より上がったのか
  • 今後いくらを目指せるのか

が判断できません。

単価をストレートに開示しない会社でも、少なくとも次の質問には答えられるはずです。

  • 今の案件は前案件より単価が上がっているか
  • 次に上がるには何が必要か
  • 給与へはいつ、どの程度反映されるか

ここに答えられないなら、かなり不透明です。

2. 還元率だけで会社を判断していないか

高還元をうたう会社は魅力的に見えます。
ただし、還元率だけで判断するのは危険です。

見るべきは、還元率そのものより、次の中身です。

  • 何を母数にした還元率か
  • 待機時の給与はどうなるか
  • 賞与や交通費の扱いはどうか
  • 社保や福利厚生はどこまで含むか
  • 昇給が固定給に乗るのか、変動給中心か

表面的に高く見えても、固定給が低い、待機に弱い、教育が薄いなら、長期的には不利になることもあります。

3. 商流と案件の入り方を見ているか

同じSESでも、一次請けに近い会社と、深い商流に入る会社では、年収の伸びやすさが変わります。

なぜなら、一次請けに近い方が、

  • 単価が高くなりやすい
  • 顧客と近く、要件や設計に触れやすい
  • 実績の説明がしやすい

からです。

「今の仕事がつらいか」だけでなく、この環境で3年後に何が履歴書に残るかを見ると判断しやすくなります。

4. 評価されやすい経験を積めているか

ここはかなり重要です。
年収が上がりやすい人は、単に忙しい人ではなく、市場で説明できる経験が増えている人です。

評価されやすい経験の例は、次のようなものです。

  • 要件定義や基本設計に一部でも入った
  • 顧客との仕様調整を担当した
  • レビューや品質改善を任された
  • 障害の一次対応ではなく、原因切り分けや再発防止まで担った
  • 小規模でもリーダー、教育、進行管理を経験した
  • AWS、クラウド、ネットワーク、DB設計などで設計判断をした

逆に、年数の割に評価されにくいのは、

  • 手順書どおりの作業だけが続いている
  • 現場が変わっても同じレベルの業務だけを繰り返している
  • 自分の成果が数字や役割で説明できない
  • 「何でもやります」だけで専門性が見えない

というケースです。

厚生労働省の調査でも、ITSSレベルは1〜2、3、4、5以上で区分され、job tag 上の賃金レンジもレベル上昇に応じて上がっています。つまり、給料が上がるかどうかは、単なる勤続年数よりも、どの難易度・どの役割の仕事を任されるかで見た方が実態に近いです。

5. 昇給条件が言語化されているか

最後に確認したいのが、昇給条件が言語化されているかです。

たとえば、

  • 次の等級に必要な条件
  • 単価アップの条件
  • 資格がどう評価されるか
  • 顧客評価が給与にどう反映されるか

が見えないなら、頑張り方が定まりません。

「そのうち上げる」「頑張りは見ている」は、やさしい言葉に見えて、実は危険です。

現職のままSESで年収を上げる方法

単価が上がる案件に寄せる

今の会社に残るとしても、まずやるべきは案件の選び方を変えることです。

年収が上がりにくい案件は、だいたい次の特徴があります。

  • 商流が深い
  • 保守運用中心で役割が広がらない
  • 顧客と離れていて評価が見えない
  • 単価上昇の余地が小さい

逆に、年収アップにつながりやすいのは、

  • 設計や要件整理に近づける案件
  • 顧客折衝や改善提案が含まれる案件
  • 技術選定、レビュー、リーダー補佐ができる案件
  • クラウド、セキュリティ、基盤、データ周りなど単価が伸びやすい領域

です。

案件変更の相談では、「成長したい」だけでなく、次の単価帯に必要な役割を経験したいと伝える方が通りやすくなります。

単価交渉は感情ではなく材料で進める

単価交渉で失敗しやすいのは、「頑張っているので上げてください」という伝え方です。
これだと評価はされても、単価や給与にはつながりにくいです。

交渉材料は、最低でも次の4点に分けておくと強いです。

  • 担当範囲がどう広がったか
  • どんな成果を出したか
  • 再現性のある強みは何か
  • 次にどの案件・役割なら単価が上がるか

たとえば、
「開発を担当しています」より、
「設計レビュー、障害切り分け、顧客からの変更相談の一次整理まで担当し、実質的に一段広い役割を担っている」
の方が単価交渉につながります。

面談で確認すべき質問を変える

評価面談では、感想をもらうだけでは足りません。
聞くべきなのは次です。

  • 今の自分の単価レンジはどのあたりか
  • 次に単価を上げるには何が足りないか
  • 顧客評価は給与にどう反映されるか
  • いつの昇給タイミングで、何が反映対象か
  • 今の案件を続ける意味は何か

この質問に具体的に答えられない会社は、構造的に給料が上がりにくい可能性があります。

会社に残るべきかの見極めラインを持つ

現職に残るかどうかは、感情ではなく条件で決めた方がぶれません。

残る余地があるのは、次のようなケースです。

  • 単価や昇給条件の説明がある
  • 3〜6か月以内に案件改善の見込みがある
  • 設計、顧客折衝、上流寄りの経験に寄せられる
  • 単価アップが給与に連動する見通しがある

逆に、転職優先で考えた方がいいのは、

  • 単価も評価条件も開示されない
  • 案件を選べず、経験が積み上がらない
  • 上がる見込みが毎回先送りになる
  • 商流が深く、単価の天井が低い

という状態です。

転職でSESの給料を上げる3つのルート

高還元SESに移る

高還元SESは、単価と給与の連動を重視したい人には合いやすいです。
特に、すでにある程度スキルがあり、自分で案件選びや単価の妥当性を見られる人には相性があります。

向いているのは、たとえばこんな人です。

  • 今の会社の取り分に不透明感がある
  • 単価連動の方が納得感を持てる
  • 教育やマネジメントより報酬優先
  • 自分で案件を見極められる

ただし、制度設計が弱い会社もあるので、高還元=無条件で正解ではありません。

一次請けSESに移る

年収と経験のバランスで考えると、かなり有力なのが一次請けSESです。

一次請けに近い会社は、

  • 商流が浅く単価が取りやすい
  • 顧客に近く上流に入りやすい
  • 役割が広がりやすく、次の転職にも強い

というメリットがあります。

短期の還元率だけでなく、3年後の市場価値まで含めて考えるなら有力な選択肢です。

事業会社・自社開発へ移る

事業会社や自社開発は、長期で見ると年収が伸びやすいケースがあります。
ただし、SES経験があるだけで自動的に評価されるわけではありません。

見られやすいのは、

  • ユーザーや事業を意識した改善経験
  • 要件整理や仕様検討への関与
  • チームでの開発経験
  • 自走して課題を見つけた経験

です。

逆に、受け身で常駐していた印象が強いと、書類や面接で苦戦しやすくなります。
事業会社を目指すなら、SES経験をどう翻訳して伝えるかまで考える必要があります。

高還元SESに行くべき人・行かない方がいい人

高還元SESが向いている人

高還元SESが向いているのは、次のタイプです。

  • すでにある程度の実務経験がある
  • 単価や案件内容を自分で見極められる
  • 教育制度より報酬の透明性を重視する
  • 待機や案件変更の波にある程度耐えられる
  • 将来的にフリーランス寄りの感覚でも動ける

このタイプなら、高還元の仕組みを活かしやすいです。

高還元SESで後悔しやすい人

逆に、次の人は慎重に見た方がいいです。

  • まだ育成やレビュー支援が必要
  • 案件選びの軸がない
  • 固定給の安定性を重視したい
  • チームでの蓄積や自社ノウハウを重視したい
  • 表面的な年収アップだけで決めそうになっている

特に注意したいのは、見かけの年収は上がっても、長期の市場価値が伸びないケースです。
高還元であっても、毎回似た案件を渡されるだけなら、数年後にまた同じ悩みが戻ってきます。

求人票と面談で見るべきチェックポイント

高還元SESを検討するときは、次を必ず確認したいです。

  • 還元率の母数は何か
  • 待機時給与は何割か
  • 案件選択権はどの程度あるか
  • 商流はどこまで公開されるか
  • 上流や設計案件に入れる実績があるか
  • 単価アップ時の給与反映ルールは何か
  • 福利厚生、賞与、評価制度はどうなっているか

表面的には良さそうでも注意が必要なケースは多いです。
たとえば、「最高還元率」だけを強調して固定給の低さを隠している会社、「案件自由」をうたいながら実際は選択肢が少ない会社は珍しくありません。

迷う人向けの結論|給料が上がらないSESからどう動くべきか

今の会社に残ってよいケース

次の条件がそろうなら、すぐ転職しなくてもよいです。

  • 単価や評価の説明がある
  • 近いうちに案件改善の見込みがある
  • 設計・顧客折衝・リーダー補佐など役割が広がる
  • 昇給の反映時期が明確
  • 商流や案件の質が今後改善しそう

この場合は、現職で実績を作ってから動いた方が、次の転職でも有利です。

転職を優先した方がいいケース

一方で、次の状態なら転職優先で考えた方がいいです。

  • 給料が上がらない理由を会社が説明できない
  • 単価や評価制度がずっと不透明
  • 何年いても同じレベルの案件しか回ってこない
  • 商流が深く、給与の天井が低い
  • 将来につながる経験が積めていない

この段階まで来ているなら、問題は一時的な不満ではなく、構造的な停滞です。
努力不足ではなく、環境を変える方が早いことがあります。

まとめ|SESで給料が上がらない不満は、構造理解と選択で変えられる

SESで給料が上がらないとき、まずやるべきなのは、ただ落ち込むことでも、勢いで転職することでもありません。

整理すべきなのは、この3つです。

  • なぜ上がらないのか
    構造、商流、評価制度、案件内容のどこに原因があるか
  • 今の会社で改善できるのか
    単価、案件、評価の改善余地があるか
  • 転職するならどこに行くのか
    高還元SES、一次請けSES、事業会社のどれが合うか

給料への不満は、わがままではありません。
それは、今の働き方と将来の市場価値にズレを感じているサインです。

そのズレが一時的なら現職で調整すればいいですし、構造的なら転職で変えるべきです。
大事なのは、「なんとなく不満」で止まらず、単価・商流・役割・転職先まで分解して考えることです。

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SES経験者向けに、求人の質・サポートの違い・選び方を整理しているので、転職で年収アップを考えている人は次に読む記事として役立ちます。