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SESの中抜き割合は?給料が安いと感じるエンジニア向けに適正年収の計算方法と優良企業の見分け方を解説

「自分の給料は単価に見合ってる?」と悩むエンジニアの方へ。SESの中抜き割合の相場、マージン率の仕組み、適正年収の計算方法を解説します。還元率の高い優良企業の見分け方も紹介。あなたの市場価値を正しく把握し、後悔しないキャリア選択を支援します。

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「客先で評価されているのに、給料がなかなか上がらない…」

「自分の単価はいくらで、会社にどれくらい『中抜き』されているんだろう?」

SES(システムエンジニアリングサービス)で働くエンジニアの多くが、一度はこのような疑問や不満を抱いたことがあるのではないでしょうか。

この記事では、SES業界の「中抜き」の仕組みやその割合の相場について、詳しく解説します。さらに、ご自身の単価から適正な年収を計算する方法や、エンジニアを正当に評価してくれる「優良SES企業」の見分け方まで、具体的なアクションに繋がる情報をお届けします。

この記事を読めば、あなたが今抱えている給与へのモヤモヤを解消し、納得感を持ってキャリアを歩むための第一歩を踏み出せるはずです。

そもそもSESの「中抜き」とは?悪質な仕組みなの?

まず、SES業界でよく使われる「中抜き」という言葉の正体から理解しましょう。結論から言うと、「中抜き」自体が必ずしも悪というわけではありません。

一般的に「中抜き」と呼ばれるものは、ビジネス用語で「マージン」と言います。これは、SES企業がエンジニアを顧客企業に派遣する際に発生する、顧客企業からの請求額(エンジニアの単価)と、エンジニアに支払う給与の差額のことです。

マージンは会社の運営に必要な経費

SES企業はこのマージンから、会社の運営に必要な様々な経費を支払っています。具体的には以下のようなものです。

  • 社会保険料(健康保険、厚生年金など): 会社負担分
  • 福利厚生費: 家賃補助、資格取得支援など
  • 営業・管理部門の人件費: 案件を獲得する営業担当や、経理・人事などの給与
  • 待機期間中の給与: 案件がない期間もエンジニアの給与を保証するための費用
  • オフィスの賃料や光熱費
  • 会社の利益

このように、マージンは会社が事業を継続し、エンジニアが安心して働ける環境を提供するために不可欠なものです。問題なのは、マージンの存在そのものではなく、その割合が不当に高かったり、内訳が不透明だったりすることなのです。

SESの中抜き割合(マージン率)の相場は?還元率で考えよう

「中抜き」について考える上で重要な指標が「還元率」です。還元率とは、顧客企業から支払われる単価のうち、どれくらいの割合がエンジニアの給与として支払われているかを示す数値です。

還元率 (%) = (年収 ÷ 月単価 × 12ヶ月) × 100

一般的に、SES業界における還元率の相場は60%〜70%程度と言われています。

  • 還元率80%以上: 非常に優良
  • 還元率70%〜80%: 優良
  • 還元率60%〜70%: 一般的
  • 還元率50%〜60%: やや低い(要注意)
  • 還元率50%未満: 危険水準(転職を検討すべき)

もしあなたの会社の還元率が60%を下回っている場合、会社がマージンを取りすぎている可能性があります。まずはご自身の還元率がどのくらいなのか、次の計算方法で確認してみましょう。

自分の適正年収は?単価から給料を計算する方法

ご自身の客先単価が分かれば、おおよその適正年収をシミュレーションできます。計算式は非常にシンプルです。

想定年収 = 月単価 × 還元率 × 12ヶ月

例えば、あなたの月単価が80万円で、還元率が一般的な60%だと仮定しましょう。

80万円 × 60% (0.6) × 12ヶ月 = 576万円

この場合、あなたの適正年収の目安は576万円となります。もし実際の年収がこれを大幅に下回っている場合は、会社のマージン率が高い可能性があります。

自分の単価を知らない場合は?

そもそも自分の単価を知らされていない、という方も多いかもしれません。その場合は、まず直属の上司や営業担当に正直に聞いてみましょう。優良な企業であれば、評価の透明性を担保するために教えてくれるはずです。

もし教えてもらえない場合は、その会社自体が不透明な体質である可能性も考えられます。その際は、転職エージェントに相談し、あなたのスキルや経験から市場価値(想定される単価)を教えてもらうのも一つの手です。

要注意!中抜きがひどいSES企業の特徴5選

残念ながら、エンジニアから不当に多くのマージンを取る、いわゆる「中抜きがひどい」企業も存在します。以下のような特徴に当てはまる場合は注意が必要です。

  1. 単価を絶対に教えてくれない
    評価の根拠である単価を頑なに開示しないのは、何か都合が悪いことがあるからかもしれません。透明性の欠如は不信感に繋がります。
  2. 給与テーブルや評価制度が不透明
    どのようなスキルを身につけ、どのような評価を得れば昇給するのかが明確でない場合、会社側の都合で給与が決められている可能性があります。
  3. 還元率が極端に低い(50%未満)
    会社の経費を差し引いても、還元率が50%を切るような場合は、エンジニアの貢献を正当に評価しているとは言えません。
  4. 多重下請け構造の末端にいる
    商流が深くなる(間に多くの会社が入る)ほど、中間マージンが増え、末端のエンジニアに届く単価は低くなります。二次請け、三次請けの案件ばかりを扱っている場合は注意が必要です。
  5. 営業担当のサポートが手薄い
    案件の紹介や単価交渉、現場でのトラブル対応など、営業担当のサポートが不十分な場合、会社としてエンジニアを守る体制が整っていない可能性があります。

還元率の高い優良SES企業を見分ける4つのポイント

一方で、エンジニアの働きを正当に評価し、高い還元率を実現している優良企業も数多く存在します。転職を考える際は、以下のポイントをチェックしましょう。

  1. 還元率を公式サイトなどで公開している
    還元率を明確に提示している企業は、透明性が高く、エンジニアへの誠実な姿勢の表れと言えます。
  2. 単価評価制度が明確である
    「単価の◯%を給与として還元する」といった、単価と給与が連動する評価制度を導入している企業は、成果が直接給与に反映されるため、モチベーションを維持しやすいです。
  3. 待機期間中の給与保証がある
    案件と案件の間に待機期間が発生した場合でも、給与を100%保証してくれる企業は、エンジニアの生活を第一に考えている証拠です。
  4. 営業力が高く、高単価・直請け案件が多い
    エンドユーザーや元請け企業と直接取引する「直請け(プライム)案件」を多く保有している企業は、中間マージンが発生しないため、エンジニアに高い単価を提示できます。

SESの中抜きに不満なら取るべき3つの行動

もし、ご自身の給与や会社の体制に不満を感じたなら、ただ悩むのではなく、具体的な行動を起こすことが重要です。

1. まずは自社に単価や評価制度を確認・交渉する

すぐに転職と決めつける前に、まずは現在の会社で改善の余地がないか探ってみましょう。上司や営業担当に、評価制度や自身の単価について質問し、給与交渉を行うのも一つの方法です。あなたの貢献度や今後のキャリアプランを具体的に伝えることで、状況が変わる可能性もあります。

2. 還元率の高い優良SES企業へ転職する

交渉の余地がない、あるいは会社の体質そのものに問題があると感じた場合は、転職が最も有効な解決策です。先ほど紹介した「優良企業の見分け方」を参考に、あなたのスキルと努力を正当に評価してくれる企業を探しましょう。

3. フリーランスとして独立を検討する

もしあなたがスキルと経験に自信があり、自己管理ができるのであれば、フリーランスとして独立する道もあります。会社員としての安定はなくなりますが、マージンがなくなるため、単価の大部分を自身の収入にできるという大きなメリットがあります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 還元率100%のSES企業は存在する?

A1. 存在しません。前述の通り、企業は社会保険料やオフィス賃料、営業担当の人件費などを負担する必要があるため、還元率が100%になることは構造上ありえません。「還元率100%」を謳うサービスは、フリーランスエージェントなど、雇用形態が異なる場合がほとんどです。

Q2. 自分の客先単価を知る方法はありますか?

A2. 最も確実なのは、自社の営業担当や上司に直接聞くことです。もし教えてもらえない場合は、転職エージェントに登録し、自身の経歴やスキルを伝えることで、客観的な市場価値(想定単価)を教えてもらうことができます。

Q3. マージン率を公開している企業は信頼できますか?

A3. 厚生労働省の指導により、企業はマージン率などの情報を公開することが望ましいとされています。情報を公開している企業は、法令遵守の意識が高く、透明性のある経営を行っている可能性が高いため、信頼できる一つの指標と言えるでしょう。

まとめ:自分の価値を正しく評価してくれる環境を選ぼう

今回は、SESの「中抜き」の仕組みから、適正な割合、優良企業の見分け方までを解説しました。

  • 「中抜き(マージン)」は会社運営に必要だが、不当な高さや不透明性は問題
  • 還元率の相場は60%〜70%。自分の単価から適正年収を計算してみよう
  • 中抜きがひどい企業には、単価非公開・評価制度が不透明などの特徴がある
  • 優良企業は、還元率公開・単価連動評価など、透明性が高い
  • 現状に不満なら、交渉、転職、独立などの行動を起こすことが大切

SESという働き方は、様々な現場で経験を積めるという大きなメリットがあります。しかし、その働き方があなたのキャリアや生活を不当に圧迫するものであってはなりません。

この記事をきっかけにご自身の待遇を一度見直し、あなたの価値を正しく評価してくれる環境で、納得感を持って働けることを心から願っています。

職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手

「自分の市場価値が分からず、どんな企業に応募すれば良いか迷っている…」
「より還元率の高い企業に転職したいけど、どう探せばいいか分からない…」

もし一人で悩んでいるなら、転職のプロであるエージェントに相談するのも非常に有効な手段です。
特にIT・エンジニア業界に特化したエージェントは、各企業の内部事情(還元率や評価制度など)を熟知しており、あなたに合った優良企業を紹介してくれます。

あなたの市場価値を最大化し、年収アップを実現するために、まずは無料相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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