SESの還元率、低いと感じたら要注意!平均相場や計算方法、高還元SESの優良企業を見分ける方法を徹底解説
SESの還元率は平均何%?あなたの給料は適正?この記事ではSESの還元率の計算方法、平均相場、高還元SESのメリット・デメリット、転職で失敗しない優良企業の見分け方まで、現役エンジニアが知りたい情報を網羅的に解説します。
キャリアパス診断してみる「客先常駐で日々スキルアップしているはずなのに、給料がなかなか上がらない…」「自分の単価はいくらで、一体どれだけ会社に引かれているんだろう?」
SES(システムエンジニアリングサービス)で働くエンジニアなら、一度はこんな疑問や不満を抱いたことがあるのではないでしょうか。
そのモヤモヤを解消する鍵となるのが「還元率」です。還元率を知ることは、あなたの給与が正当なものか、そして今の会社が本当にあなたを評価してくれているのかを判断する重要な指標になります。
この記事では、SESの還元率について、以下の点を徹底的に解説します。
- 還元率の基本的な仕組みと計算方法
- 気になる還元率の平均相場
- 話題の「高還元SES」のメリットと知っておくべきデメリット
- 転職で失敗しないための優良な高還元SES企業の見分け方
この記事を読めば、あなたは自身の市場価値に見合った待遇を得るため、次の一歩を具体的に踏み出せるようになります。
そもそもSESの還元率とは?
まずはじめに、「還元率」の基本的な仕組みについて理解しておきましょう。
還元率の基本的な仕組み(単価と給与の関係)
SESにおける還元率とは、「クライアント企業があなたの技術力に対して支払う単価のうち、どれくらいの割合があなたの給与として支払われているか」を示す割合のことです。
簡単に言うと、還元率が高ければ高いほど、あなたの手元に入ってくる給料が多くなる、ということです。
- 顧客単価: クライアント企業がSES企業に支払う、エンジニア一人あたりの月額料金。
- 給与: SES企業からあなたに支払われる給料。
この二つの金額のバランスを示すのが還元率です。
なぜSES企業によって還元率が違うのか?(マージン率との関係)
では、なぜ会社によって還元率が違うのでしょうか。それは、会社がエンジニアの単価から「マージン(手数料)」を差し引いているからです。
会社は、このマージンから様々な経費を賄っています。
- 社会保険料の会社負担分
- 営業担当や事務スタッフの人件費
- オフィスの家賃や光熱費
- 福利厚生費、教育研修費
- エンジニアが待機している期間の給与
- 会社の利益
これらの経費をどれだけかけているかによって、会社が確保すべきマージン率が変わり、結果としてエンジニアへの還元率が変わってくるのです。
【シミュレーション】あなたの還元率を計算してみよう
「じゃあ、自分の還元率は一体何%なんだろう?」と気になりますよね。ここでは、還元率の計算方法を具体的に見ていきましょう。
還元率の計算式
還元率の計算方法は会社によって定義が異なる場合がありますが、一般的には以下の式で計算されます。
還元率(%) = (年収 ÷ 12ヶ月) ÷ 月額単価 × 100
※年収には、基本給や賞与、各種手当を含みます。
より正確に計算する場合は、会社が負担している社会保険料なども含めた「年間支払額」をベースに考えます。その場合の計算式は以下のようになります。
還元率(%) = ((年収 ÷ 12) + 社会保険料の会社負担分など) ÷ 月額単価 × 100
具体例で見る還元率の計算
【例】月額単価80万円、年収500万円のエンジニアの場合
- 月収換算: 500万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 41.7万円
- 還元率: 41.7万円 ÷ 80万円 × 100 ≒ 52.1%
このケースでは、還元率は約52%となります。
自分の単価を知る方法
計算式は分かっても、「そもそも自分の単価を知らない」という方も多いでしょう。単価は契約上、非公開になっているケースがほとんどです。
しかし、以下の方法で推測することは可能です。
- 営業担当に正直に聞いてみる: 信頼関係が築けていれば教えてくれる場合があります。
- 面談時のやり取りから推測する: クライアントとの面談で提示された金額や条件からある程度推測できます。
- 転職エージェントに相談する: あなたのスキルや経験を伝えれば、おおよその市場価値(単価相場)を教えてくれます。
SESの還元率、平均相場はどれくらい?
自分の還元率を計算できたら、次はその数字が業界水準と比べて高いのか低いのかを知りたくなりますよね。ここではSESの還元率の平均相場を見ていきましょう。
一般的なSES企業の還元率(50%〜60%)
多くのSES企業では、還元率は50%〜60%が相場と言われています。これは、先ほど説明したように、営業担当の人件費や充実した福利厚生、手厚い教育研修制度、待機期間中の給与保証などを会社がしっかりと負担しているためです。
もしあなたの還元率が50%を大きく下回る場合は、会社がマージンを取りすぎている可能性があり、注意が必要です。
いわゆる「高還元SES」の還元率(70%以上)
近年、「高還元SES」と呼ばれる企業が増えています。これらの企業は、還元率70%〜80%以上、中には90%近い数字を提示しているところもあります。
後述しますが、こうした高い還元率が実現できるのには理由があります。メリット・デメリットを正しく理解することが非常に重要です。
「高還元SES」のメリット・デメリットを徹底解剖
還元率70%以上を謳う「高還元SES」は、一見すると非常に魅力的に映ります。しかし、転職を考えるなら、そのメリットとデメリットの両面を冷静に比較検討する必要があります。
メリット:給与アップが最大の魅力
高還元SESの最大のメリットは、何と言っても給与の大幅アップが見込めることです。同じ単価の案件で働いていても、還元率が違うだけで年収が100万円以上変わるケースも珍しくありません。
自身のスキルや市場価値に見合った正当な報酬を得たい、と考えるエンジニアにとって、これは非常に大きな魅力です。
デメリット①:福利厚生や教育制度が手薄な場合がある
高い還元率を実現するために、企業はどこかのコストを削減する必要があります。その対象となりやすいのが、住宅手当などの福利厚生や、資格取得支援・研修といった教育制度です。
これらのサポートを重視する人にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。
デメリット②:待機期間中の給与保証がないことも
次の案件が決まるまでの待機期間中、給与が満額保証されなかったり、大幅に減額されたりするケースがあります。これは、会社が待機リスクをエンジニア個人に負わせることで、高い還元率を維持しているためです。
契約内容は必ず事前に確認しましょう。
デメリット③:営業力が弱く、希望の案件を選べないリスク
会社の営業体制が弱く、エンジニア自身が案件を探したり、スキルシートを更新したりする必要がある場合があります。また、紹介される案件の数が少なかったり、キャリアプランに合わない案件しか選べなかったりするリスクも考えられます。
会社の営業力や案件獲得力は、キャリアを左右する重要な要素です。
転職で失敗しない!優良な高還元SES企業の見分け方5つのポイント
「高還元」という言葉だけに惹かれて転職し、後悔するケースは避けたいものです。ここでは、本当にエンジニアのためを思う「優良な」高還元SES企業を見分けるための5つのチェックポイントをご紹介します。
ポイント1:還元率の計算根拠が明確か
「還元率80%!」という数字だけでなく、その計算式や、何が経費として差し引かれるのか(社会保険料、交通費など)を明確に説明してくれる企業は信頼できます。
面接の場で、「御社の還元率の計算方法を具体的に教えてください」と質問してみましょう。誠実に答えてくれるかどうかは、重要な判断材料になります。
ポイント2:案件の選択肢は豊富か(営業力のチェック)
その会社がどれくらいの案件を保有しているか、どのような業界・技術の案件に強いのかを確認しましょう。営業担当の人数や、エンジニア一人あたりを何人の営業がサポートしてくれるのか、といった体制も重要です。
豊富な選択肢の中から、自分のキャリアプランに合った案件を選べる環境かを見極めましょう。
ポイント3:待機期間中の給与保証はあるか
契約が終了し、次の案件が決まるまでの待機期間が発生した場合の給与保証について、必ず確認してください。「給与の●%を保証」「基本給は保証」など、会社によって規定は様々です。契約書に明記されているかどうかもチェックしましょう。
ポイント4:福利厚生やキャリアサポートは十分か
給与だけでなく、福利厚生や教育制度、キャリア相談の機会など、総合的なサポート体制も確認しましょう。自分にとって何が重要かを考え、その基準を満たしているかを見極めることが大切です。
ポイント5:エンジニアの定着率は高いか
社員の定着率や平均勤続年数は、その会社の働きやすさを示す客観的な指標です。もし公開されていれば、必ずチェックしましょう。公開されていない場合でも、面接で「社員の方の平均的な勤続年数はどれくらいですか?」と質問してみるのも一つの手です。
よくある質問(Q&A)
最後に、SESの還元率に関してよくある質問にお答えします。
Q1. 還元率100%のSESは存在しますか?
厳密には存在しません。会社を運営するためには、社会保険料の会社負担分など、最低限の経費が必要です。もし「還元率100%」を謳っている場合は、どのような仕組みになっているのか、差し引かれる経費の内訳を詳細に確認する必要があります。
Q2. 未経験から高還元SESに転職できますか?
難しい場合が多いです。高還元SESは、即戦力となるスキルを持ったエンジニアを求めていることがほとんどです。まずは一般的なSES企業で数年間実務経験を積み、スキルと単価を上げてから高還元SESへの転職を目指すのが現実的なキャリアパスです。
Q3. 還元率以外に会社選びで見るべき点は何ですか?
還元率以外では、「営業力」「案件の質と量」「キャリアサポート体制」「企業文化や理念」などが重要です。給与も大切ですが、あなたがエンジニアとして成長できる環境か、長期的に安心して働ける会社か、という多角的な視点で判断することが後悔しない会社選びのコツです。
まとめ:還元率を正しく理解し、納得のいくキャリアを
今回は、SESエンジニアにとって重要な「還元率」について、仕組みから優良企業の見分け方まで詳しく解説しました。
- 還元率とは、顧客単価のうち、どれだけが給与として支払われるかを示す割合
- 一般的なSESの還元率は50%〜60%、高還元SESは70%以上が目安
- 高還元SESは給与アップの魅力があるが、福利厚生や待機中の保証などのデメリットも
- 企業選びでは、還元率の数字だけでなく、その根拠やサポート体制を総合的に見ることが重要
還元率は、あなたの働きを評価する一つのバロメーターです。この記事を参考に、ご自身の現在の待遇を見直し、今後のキャリアプランを考えるきっかけにしていただければ幸いです。
職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手
- 「一通り調べてみたけど、自分の市場価値が分からず、どんな企業に応募すれば良いか迷っている…」
- 「今の会社よりも良い条件の企業に転職したいけど、どうアピールすれば良いか分からない…」
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