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【エンジニア必見】SESの「単価公開義務」は本当にある?法的な根拠と自分の市場価値を知る方法

SESエンジニアが抱える単価公開の疑問を徹底解説。法的な義務の有無から、2024年4月の法改正、自分の単価を把握し交渉に活かす具体的なステップまで、キャリアアップに必要な知識を網羅します。

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はじめに:SESエンジニアが単価を知りたいと考える背景

客先常駐(SES)として働くエンジニアにとって、「自分の単価はいくらなのか」という疑問は常に付きまといます。特に、自身の労働時間やスキルに見合わないと感じたとき、会社がどの程度のマージンを取っているのかを知りたいと考えるのは自然なことです。

単価不明による不満と不安

「給与が上がらないのに、プロジェクトの難易度だけが上がっていく」「会社への貢献度が見えない」——。単価が不透明であることは、エンジニアのモチベーション低下や、会社への不信感に直結します。自分の市場価値を正しく把握し、適正な報酬を得るためには、単価を知ることが第一歩だと考えるでしょう。

この記事で解決できること

この記事では、SES企業に単価公開義務があるのかどうかを、労働者派遣法労働基準法といった法的な根拠に基づいて明確に解説します。さらに、単価が公開されない場合に、自分の単価マージン率を推測し、給与交渉やキャリアアップに繋げるための具体的な実践ステップを紹介します。

結論:SES企業に「単価公開義務」はあるのか?

結論から言うと、現在の日本の法律において、SES企業が社員(エンジニア)に対して、客先からの受注単価を直接的に公開する義務は定められていません。

この背景には、SESで用いられる主な契約形態が関係しています。

原則として単価公開の「直接的な義務」はない

企業は、労働者に対して給与や労働時間などの労働条件明示の義務(労働基準法)を負いますが、これはあくまで労働者自身が受け取る対価に関するものです。企業間の取引価格である「単価」は、一般的に企業の営業秘密(特定情報)と見なされるため、法的な開示義務はありません。

契約形態による違い(準委任契約と派遣契約)

SESで採用される主な契約形態は「準委任契約」と「労働者派遣契約」の2種類があり、情報公開のルールが異なります。

契約形態

根拠法

単価公開義務

特徴

準委任契約

民法

義務なし

業務の遂行を目的とする。企業間の取引価格開示義務はなし。

労働者派遣契約

労働者派遣法

義務なし (ただしマージン率の公開義務あり)

派遣元企業との雇用関係を維持し、派遣先で働く。

準委任契約の場合、単価は純粋な企業間取引の情報となります。一方、労働者派遣契約の場合、単価そのものの公開義務はありませんが、後述する「マージン率」の公開義務があります。

【重要】派遣法に基づく「マージン率」の公開義務とは

労働者派遣契約の場合、単価の直接的な公開義務はないものの、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」に基づき、派遣元企業には特定の情報の公開が義務付けられています。

派遣契約における情報公開のルール

派遣元企業は、毎年事業年度終了後、以下の情報を公開しなければなりません。

  1. 派遣労働者の数
  2. 派遣先の数
  3. マージン率
  4. 教育訓練に関する事項
  5. キャリアコンサルティングに関する事項

この中で、特に重要なのが「マージン率」です。

マージン率から逆算して単価を推測する方法

マージン率とは、派遣料金の平均額から派遣労働者の賃金の平均額を差し引いた額が、派遣料金の平均額に占める割合です。

$$ ext{マージン率} = rac{ ext{派遣料金の平均額} - ext{賃金の平均額}}{ ext{派遣料金の平均額}} imes 100$$

このマージン率は、企業のウェブサイトや、厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」の開示情報などで確認できます。

マージン率と、自分の給与や会社の平均賃金を比較することで、自分の単価が平均的な派遣料金と比べて妥当かどうかを間接的に推測する手がかりになります。

2024年4月改正!労働条件明示ルールの変更点

2024年4月1日より、労働条件明示ルールが改正され、労働契約の締結・更新時に明示しなければならない事項が追加されました。この改正は、単価公開の義務化ではありませんが、労働条件の透明性を高める上で非常に重要です。

全ての労働契約で明示が義務付けられた事項

今回の改正で、特に以下の2点が明確に義務付けられました。

  1. 就業場所および業務の変更の範囲
  2. 更新上限の有無と内容(有期労働契約の場合)

SESエンジニアの場合、プロジェクトや客先によって就業場所業務が変わるのが通常です。改正後は、契約時に「将来的にどのような範囲で業務や勤務地が変わる可能性があるか」を明確に示さなければなりません。

単価開示に繋がる可能性はあるか?

この改正は、直接的に単価開示を義務付けるものではありません。しかし、労働条件の開示要求が高まる中で、企業側もより透明性の高い経営が求められる傾向にあります。自身の労働条件明示が不十分だと感じた場合は、会社に対して明確な説明を求める権利があります。

会社に単価開示を要求する際の法的な根拠と注意点

単価の直接的な公開義務がないとはいえ、エンジニアとして自分の単価を知りたいという要求は正当です。開示を要求する際には、以下の点に注意しましょう。

単価開示を拒否された場合の対処法

会社が単価開示を拒否するのは、多くの場合「営業秘密の保護」という理由に基づいています。法的に義務がないため、開示を強く求めすぎると、社内での関係が悪化するリスクがあります。

もし、単価が高いにも関わらず賃金が極端に低いなど、中間搾取(労働基準法第6条で禁止)の疑いがあると感じた場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門機関に相談することを検討しましょう。ただし、SESにおける適正なマージンは企業の運営費や教育費に充てられるため、マージン率が高いこと自体が直ちに違法となるわけではありません。

交渉を有利に進めるための準備

単価そのものではなく、「昇給」や「評価制度の透明性」について交渉の焦点を移すことが現実的です。

会社側にとって単価開示は難しいとしても、あなたが「なぜその給与でなければならないのか」という評価基準の透明性を求めることは可能です。具体的に、あなたがプロジェクトで出した成果と、それに対する評価を明確に文書化して提示できるよう準備しましょう。

単価が分からなくても市場価値を把握し、給与を上げる実践ステップ

単価が分からなくても、自分の市場価値を正確に把握し、給与アップやより良いキャリアを築くことは十分に可能です。単価を「知る」ことよりも、単価を「上げる」ための行動に注力しましょう。

ステップ1:客観的な市場価値を把握する(技術力・相場)

まずは、客観的なデータに基づいて自分のスキルレベルと市場の相場を照らし合わせます。

  • 具体的な技術レベルの確認: 自身の使用言語、フレームワーク、クラウド技術(AWS, Azureなど)について、資格取得や実務経験年数に基づいたレベルを明確にします。
  • 業界の相場調査: 転職エージェントの公開データや、高単価のフリーランス案件の情報を参照し、自分のスキルセットが市場でどの程度の単価で取引されているか調査します。

ステップ2:スキルシートを「成果ベース」で磨き上げる

単価交渉や転職において最も重要なのは、経験ではなく成果です。

  • NG例: 「〇〇プロジェクトに5年間参加し、Javaで開発を行った」
  • OK例: 「〇〇プロジェクトにおいて、パフォーマンス改善に取り組み、処理速度を30%向上させた。これにより、年間で約500万円のコスト削減に貢献した」

このように、技術的な貢献だけでなく、ビジネスへの貢献度を数値で示すことで、あなたの単価(市場価値)の正当性を主張できます。

ステップ3:単価交渉・昇給交渉に活かす具体的な方法

市場価値の把握とスキルシートの整備ができたら、以下の論点で交渉に臨みます。

  1. 他社オファーの提示: 自分の市場価値を裏付けるために、他社から具体的なオファー(給与額)を得ておくのが最も強力です。
  2. 具体的な貢献の提示: ステップ2で作成した「成果ベース」の貢献を提示し、その貢献が会社の利益(=高い単価)に繋がっていることを論理的に説明します。
  3. 目標設定の要求: 単価や給与を上げるために、具体的にどのようなスキルや資格を取得すれば良いか、会社側に明確な目標設定を要求します。

まとめ:単価は「知る」だけでなく「上げる」ことが重要

SESにおける単価公開は、現在の法制度では直接的な義務ではありません。しかし、労働者派遣法に基づくマージン率の公開や、2024年4月の労働条件明示ルールの改正など、労働環境の透明化は進んでいます。

エンジニアとして最も注力すべきは、単価の公開を待つことではなく、自分の市場価値を最大限に高め、交渉力を身につけることです。自分の単価を推測し、その単価に見合った、あるいはそれ以上の成果を出すことで、結果的に給与アップとキャリアアップを実現できます。


よくある質問(FAQ)

Q1: SESのマージン率の一般的な相場は?

マージン率は企業によって大きく異なりますが、一般的には20%〜40%程度が多いとされています。このマージンには、社会保険料の会社負担分、交通費、教育研修費、福利厚生費、そして企業の営業利益などが含まれます。

Q2: 準委任契約の場合、単価交渉は可能ですか?

可能です。準委任契約であっても、あなたのスキルセットや貢献度が高ければ、会社に対して昇給や評価制度の見直しを求めることはできます。交渉の際は、客観的な市場価値や過去の具体的な成果を根拠として提示することが重要です。

Q3: 自分の単価を知ることで、会社から不利益を被ることはありますか?

単価を知ったこと自体で不利益を被ることは通常ありません。しかし、単価が高いことを理由に感情的に会社を非難するなど、交渉の仕方を誤ると、社内での評価や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。あくまで冷静に、データに基づいて交渉を進めるべきです。


自分の市場価値を正しく評価してくれる企業と出会うために

「自分の単価を上げたいが、今の会社では限界があるかもしれない」「自分のスキルが市場でどのくらい評価されるのか知りたい」

もしあなたが、単価交渉やキャリアアップに悩んでいるなら、IT・エンジニア業界に特化したプロのキャリアアドバイザーに相談することをおすすめします。

業界の最新の単価相場を熟知しているエージェントは、あなたのスキルシートを客観的に評価し、現在の会社での交渉材料を提供したり、あなたの市場価値を正しく評価してくれる高単価な案件を紹介してくれます。

まずは無料のキャリア相談を利用して、あなたの市場価値を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

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