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SESと派遣の違いとは?エンジニアの働き方を7つの観点で徹底比較|自分に合うのはどっち?

SESと派遣の違いが分からず悩んでいませんか?本記事では契約形態や指揮命令権、給与、キャリアパスなど7つの観点から違いを徹底比較。あなたに最適な働き方を見つけるためのポイントをエンジニア向けに分かりやすく解説します。

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「SESと派遣、よく聞くけど何が違うの?」
「自分にはどっちの働き方が合っているんだろう…」

転職活動を進める中で、このような疑問を抱えているエンジニアの方は多いのではないでしょうか。どちらも「客先常駐」という点で似ていますが、契約形態や働き方は大きく異なり、この違いを理解しないままキャリアを選択すると、後で「思っていたのと違った」と後悔しかねません。

この記事では、ITエンジニアのキャリア選択をサポートする専門家の視点から、SESと派遣の根本的な違いを7つの観点で徹底的に比較・解説します。

この記事を読めば、それぞれのメリット・デメリットが明確になり、あなた自身のスキルやキャリアプランに最適な働き方を見つけるための具体的なヒントが得られるはずです。後悔のないキャリアを歩むために、まずは正しい知識を身につけましょう。

一目でわかる!SESと派遣の7つの違い比較表

まずは結論から。SESと派遣の主な違いを一覧表にまとめました。各項目の詳細については、この後じっくり解説していきます。

比較項目

SES(準委任契約)

派遣(労働者派遣契約)

①契約形態

準委任契約(クライアント企業 ⇔ SES企業)

労働者派遣契約(派遣先企業 ⇔ 派遣会社)

②指揮命令権

SES企業(雇用元)

派遣先企業(常駐先)

③雇用関係

正社員が中心

契約社員・派遣社員が中心

④給与・待遇

月給制で安定的。福利厚生が充実している傾向

時給制が多く、高時給も狙える。交通費は別途の場合も

⑤キャリアパス

多様な案件で経験を積みやすい。マネジメントへの道も

特定分野の専門性を高めやすい。スキルアップは自己努力が中心

⑥案件の自由度

会社の意向が強い場合がある

勤務地や時間など、希望条件で案件を選びやすい

⑦対象者

未経験・若手からベテランまで幅広い

特定のスキル・経験を持つ即戦力が求められる傾向

そもそもSES・派遣とは?基本を理解しよう

比較の前に、まずはそれぞれの基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。

SES(システムエンジニアリングサービス)とは?

SESとは「System Engineering Service」の略で、エンジニアの技術力(労働力)をサービスとして提供する契約形態のことです。これを「準委任契約」と呼びます。

  • 契約: SES企業(自分が所属する会社)がクライアント企業と「準委任契約」を結びます。
  • 目的: システム開発や運用・保守などの業務を遂行すること。
  • 特徴: 契約の目的は「業務を遂行すること」であり、成果物の完成を約束するものではありません。エンジニアはSES企業の社員として、クライアント先のオフィスで働きます。

派遣(IT派遣/エンジニア派遣)とは?

派遣とは、派遣会社(自分が所属する会社)に雇用され、そこから「派遣先企業」に派遣されて働く働き方です。これを「労働者派遣契約」と呼びます。

  • 契約: 派遣会社が派遣先企業と「労働者派遣契約」を結びます。
  • 目的: 派遣先企業の指示のもと、労働力を提供すること。
  • 特徴: 雇用契約は派遣会社と結びますが、実際の業務の指示は派遣先企業の担当者から受けます。

【重要】最大の違いは「指揮命令権」の所在

SESと派遣を分ける最も本質的な違いは、業務に関する「指揮命令権」がどこにあるかです。これは働き方に直結する非常に重要なポイントです。

SES:指揮命令権は「自社(SES企業)」にある

準委任契約であるSESでは、業務の進め方に関する指示や命令は、雇用元であるSES企業の担当者(自社のリーダーなど)が出すのが原則です。クライアント企業の担当者がSESエンジニアに直接、残業を命じたり、業務の進め方を細かく指示したりすることは契約上できません。

もしクライアントが直接指示を出している場合、それは「偽装請負」という違法状態になる可能性があります。

派遣:指揮命令権は「派遣先企業」にある

一方、労働者派遣契約である派遣では、指揮命令権は派遣先企業にあります。そのため、派遣エンジニアは常駐先の社員から直接、業務の指示を受けて働きます。これは、一般的なアルバイトや契約社員が、その会社の社員から指示を受けるのと似た感覚です。

この「誰から指示を受けるか」という違いが、現場での働き心地やコミュニケーションの取り方に大きく影響します。

7つの観点で徹底比較!SES vs 派遣

それでは、冒頭の比較表の内容をさらに詳しく見ていきましょう。

① 契約形態:「準委任契約」と「労働者派遣契約」

これは法律上の大きな違いです。SESは「業務の遂行」を目的とし、派遣は「労働力の提供」を目的とします。この違いが、次に解説する給与や雇用の安定性にも繋がっていきます。

② 給与・福利厚生:安定性のSES、高時給の派遣

  • SES: 正社員雇用が多いため、月給制で安定した収入が見込めます。賞与(ボーナス)や昇給もあり、住宅手当などの福利厚生も雇用元である自社のものが適用されます。待機期間(次の案件が決まるまでの期間)も給与が支払われるのが一般的です。
  • 派遣: 時給制が多く、専門スキルが高ければ時給3,000円〜5,000円といった高時給を狙うことも可能です。ただし、賞与や退職金がないケースが多く、福利厚生は派遣会社の規定に準じます。

③ 雇用関係:正社員が多いSES、契約社員が多い派遣

  • SES: ほとんどの場合、正社員として雇用されます。そのため、長期的なキャリア形成を見据えやすく、雇用の安定性が高いと言えます。
  • 派遣: 派遣会社との間で有期雇用契約(例:3ヶ月更新)を結ぶ登録型派遣が一般的です。同じ派遣先の同じ部署で働けるのは原則3年までという「3年ルール」もあり、雇用は流動的です。

④ キャリアパス:多様な経験を積めるSES、専門性を高めやすい派遣

  • SES: 様々な業界や技術領域のプロジェクトに参画するチャンスがあります。幅広い経験を積むことで、フルスタックエンジニアやプロジェクトマネージャー(PM)を目指すキャリアパスが描きやすいでしょう。
  • 派遣: 自分の持つ特定のスキルセット(例:Javaでの開発経験5年以上)を活かせる案件を選びやすいのが特徴です。特定の技術や分野のスペシャリストとしてキャリアを築きたい人に向いています。

⑤ 案件の選択肢:未経験から可能なSES、スキルが求められる派遣

  • SES: 教育制度が整っている企業も多く、未経験や経験の浅い若手でも挑戦できる案件が比較的豊富です。ただし、案件の選択は会社の意向が強く反映されることもあります。
  • 派遣: 基本的に即戦力が求められます。そのため、一定以上の実務経験やスキルがないと希望の案件に就くのは難しい傾向があります。

⑥ 働き方の自由度:契約期間や残業の考え方

  • SES: プロジェクトは数ヶ月〜数年単位と様々です。残業時間は常駐先のプロジェクトの状況に大きく左右されます。
  • 派遣: 「週3日勤務」「残業なし」など、ライフスタイルに合わせた条件で仕事を探しやすいのが大きなメリットです。契約で定められた業務範囲を超える仕事を頼まれにくいのも特徴です。

⑦ 人間関係:帰属意識の違い

  • SES: 自社の社員と一緒にチームで常駐することも多く、自社への帰属意識を持ちやすいです。定期的な帰社日や社内イベントを設けている企業もあります。
  • 派遣: 基本的に一人で派遣されることが多く、派遣先での人間関係が中心となります。派遣会社との関わりは契約更新や勤怠管理などが主で、帰属意識は持ちにくいかもしれません。

結局どっちがいい?あなたに合う働き方の選び方

ここまで解説した違いを踏まえ、あなたがどちらの働き方に向いているか、タイプ別に整理しました。

SESが向いている人の特徴

  • 正社員としての安定した雇用を求める人: 毎月の固定給や賞与、福利厚生を重視するならSESがおすすめです。
  • 未経験からITエンジニアを目指す人: 研修制度が充実しており、実務経験を積み始める第一歩として最適な環境です。
  • 幅広い技術や業界を経験したい人: 様々なプロジェクトに携わることで、自分の適性を見つけたり、キャリアの可能性を広げたりできます。

派遣が向いている人の特徴

  • 特定のスキルを活かして高収入を得たい人: 自分の専門性を武器に、時給という分かりやすい形で評価されたい人に向いています。
  • プライベートと仕事を両立させたい人: 勤務地、勤務時間、残業の有無など、働き方の条件を自分でコントロールしたい人には最適です。
  • 大手企業や有名なサービスの開発に携わりたい人: 正社員での入社が難しい企業でも、派遣ならプロジェクト単位で関われるチャンスがあります。

注意!SES・派遣で働く前に知っておくべきこと

どちらの働き方を選ぶにしても、注意すべき点があります。特に会社選びは非常に重要です。

SESの注意点:優良企業の見極め方

「SESはやめとけ」という声を聞くことがありますが、それは一部の劣悪な企業(いわゆるブラックSES)のイメージが先行しているためです。優良なSES企業を見極めるには、以下の点をチェックしましょう。

  • 商流の深さ: エンドユーザーや元請けに近い「商流が浅い」案件を多く扱っているか。多重下請けの末端になると、給与も低く、単純作業ばかりになる可能性があります。
  • 教育・研修制度: 資格取得支援や勉強会など、エンジニアの成長をサポートする体制が整っているか。
  • キャリアパスの提示: エンジニア一人ひとりの将来を見据えたキャリア面談や、目標設定の機会があるか。

派遣の注意点:雇用の不安定さとキャリアの停滞

派遣は自由度が高い反面、デメリットも存在します。

  • 雇用の不安定さ: 景気の変動やプロジェクトの終了に伴い、契約が更新されない「雇い止め」のリスクは常にあります。
  • キャリアの停滞: 同じような業務ばかりを続けていると、スキルが陳腐化し、年齢を重ねるにつれて新しい案件が見つかりにくくなる可能性があります。常に自己学習を続ける姿勢が不可欠です。

よくある質問(Q&A)

Q1. SESから自社開発企業への転職は可能ですか?

A1. はい、可能です。SESで様々なプロジェクトを経験し、開発プロセス全体を理解したスキルや、顧客折衝能力は大きなアピールポイントになります。特に、複数の技術領域を経験していることは、自社サービスを多角的に見られる強みとして評価されることがあります。

Q2. 派遣エンジニアの「3年ルール」とは何ですか?

A2. 派遣社員が同じ企業の同じ部署で働ける期間は、原則として最長3年までと定められているルールです。3年を超えて働き続けるには、派遣先企業に直接雇用される、派遣会社の無期雇用社員になる、などの方法があります。

Q3. 「偽装請負」とは何ですか?

A3. 契約上はSES(準委任契約)であるにもかかわらず、実態としてクライアント企業がエンジニアに直接指揮命令を行っている状態を指します。これは職業安定法や労働者派遣法に違反する違法行為です。

まとめ:SESと派遣の違いを理解し、最適なキャリアを

今回は、エンジニアの働き方である「SES」と「派遣」の違いについて、7つの観点から詳しく解説しました。

  • SES: 正社員としての安定性と、多様な案件で経験を積めるのが魅力。
  • 派遣: スキルを活かした高時給と、働き方の自由度の高さが魅力。

どちらが良い・悪いということではなく、あなたの価値観やライフステージ、キャリアプランによって最適な選択は異なります。

この記事を参考に、まずは「自分はどんな働き方をしたいのか」「キャリアを通じて何を実現したいのか」をじっくり考えてみてください。その上で、自分の理想に合った働き方を選び、後悔のないキャリアを築いていきましょう。

職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手

「一通り調べてみたけど、自分にどっちが合うか客観的な意見が欲しい…」
「自分の市場価値が分からず、どんな企業や案件に応募すれば良いか迷っている…」

もし一人で悩んでいるなら、転職のプロであるエージェントに相談するのも非常に有効な手段です。

特にIT業界に特化したエージェントは、SES企業や派遣会社の内部事情にも精通しており、あなたのスキルや希望に合った最適な選択肢を提案してくれます。

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