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SESの「還元率80%」は本当に得か?高還元率SESの実態とデメリットをエンジニアが徹底解説

「SES 還元率 80%」の求人を見かけるが、その実態は?高還元率のメリット(年収アップ)とデメリット(福利厚生、待機リスクなど)を解説。手取り計算方法と後悔しない会社選びの判断基準を公開します。

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はじめに:なぜ今、「還元率80%」のSES企業が増えているのか?

「年収アップ」を目指すエンジニアにとって、SES(システムエンジニアリングサービス)企業の求人票に踊る「還元率80%」という数字は非常に魅力的でしょう。特に経験を積んだ中堅エンジニアであれば、「自分の市場価値に見合った対価を得たい」と考えるのは当然です。

しかし、一般的なSES企業が還元率を50%〜60%程度に設定している中で、なぜ80%という高還元率が実現できるのでしょうか?「高還元」という甘い言葉の裏には、エンジニア自身が負担することになるリスクや、削られているコストが存在します。

この記事では、「SES 還元率 80% 実態」を知りたいと考えるエンジニアの皆さんに向け、その仕組み、メリット、そして絶対に知っておくべきデメリットを徹底的に解説します。この記事を読めば、高還元率の求人を見たときに、感情論ではなく、具体的な数字とリスクに基づいて賢く会社選びができるようになります。

【基礎知識】SESにおける「還元率」とは何か?

「売上」と「給与」の関係:マージンと固定費の仕組み

SES企業では、エンジニアが顧客企業に提供した労働力に対して、月額の契約金額(売上)が発生します。この売上から、エンジニアに支払われる給与や、会社運営に必要な経費を差し引いたものが、企業の利益となります。

  • 売上単価(顧客への請求額)
  • マージン(企業の取り分):売上から給与や経費を引いたもの
  • 還元額(エンジニアの給与原資):売上からマージンを引いたもの

還元率とは、一般的に「売上単価のうち、エンジニアの給与(または給与原資)に充てられる割合」を指します。一般的なSES企業がマージン(経費+利益)として30%〜50%を確保するのに対し、高還元SESはマージンを20%以下に抑えていることになります。

高還元率SESの定義

明確な定義はありませんが、一般的に還元率70%以上を高還元と呼びます。特に80%という数字は、企業の取り分が20%しかないことを意味します。この20%で、企業の運営コスト(営業、バックオフィス、家賃、税金など)と利益を賄わなければなりません。

SES還元率80%の「メリット」:年収アップは確実か?

高還元率SESを選ぶ最大のメリットは、やはり年収アップの可能性が非常に高いことです。

契約金額がそのまま給与に反映される透明性

還元率が高い企業では、自分の市場価値と連動した単価が、そのまま給与に直結します。例えば、月単価80万円の案件を獲得した場合、還元率80%であれば、給与原資は64万円になります。一般的なSES企業で還元率50%だった場合(40万円)と比較すると、大きな差が生まれます。

この透明性の高さは、自分のスキルがどれだけの価値を生み出しているのかを明確に把握したいエンジニアにとって、大きなモチベーションとなります。

経験とスキルがダイレクトに評価される環境

高還元率の仕組みは、エンジニアがより高い単価で契約できるようなスキルアップをすれば、即座に収入に反映されることを意味します。つまり、個人の能力と努力が、年収アップという形でダイレクトに評価される環境です。特に市場価値の高い専門スキル(クラウド、AI、特定のプログラミング言語など)を持つエンジニアには有利に働きます。

SES還元率80%の「デメリット」と知っておくべき「実態」

還元率80%を実現するためには、企業側がコストを極限まで抑える必要があります。その結果、エンジニアが享受できるはずだったサービスや保証が削られることになります。これが高還元SESの実態です。

削られている「固定費」の正体(福利厚生、教育制度、バックオフィス)

企業の取り分であるマージン20%から、以下のコストが削られている可能性が高いです。

  1. 福利厚生の薄さ: 住宅手当、家族手当、退職金制度、健康診断のオプションなどが存在しないか、非常に簡素化されていることが多いです。これらはエンジニア自身が自己負担で賄う必要があります。
  2. 教育・研修制度の欠如: 資格取得支援金や社内研修、技術書購入費補助といった、エンジニアの成長を促すための技術研鑽への投資が少ない傾向にあります。
  3. バックオフィスの負担増: 営業担当や人事、経理などのバックオフィス体制が最小限に抑えられています。煩雑な事務手続き(経費精算、契約書確認など)をエンジニア自身がこなす必要が出てくる場合もあります。

待機期間中の給与保証とリスク

SESエンジニアにとって最も大きなリスクの一つが「待機期間」です。案件が途切れた際、企業はエンジニアに給与を支払う義務があります(正社員の場合)。

高還元率を維持するため、企業は待機リスクを極力持ちたくありません。

  • 給与保証が最低限: 待機期間中の給与が基本給のみ、あるいは大幅にカットされるケースがあります。
  • 早期の案件参画を強く求められる: 待機期間を短くするため、エンジニアの希望やキャリアパスとは異なる案件でも、参画を強く推奨される可能性があります。

雇用形態が「業務委託」扱いで社会保障が薄いケース

「還元率80%」を謳う企業の中には、実質的にエンジニアを正社員ではなく「業務委託契約」に近い形で雇用しているケースがあります。

  • 社会保険料の自己負担: 業務委託の場合、厚生年金や健康保険(協会けんぽなど)ではなく、国民年金や国民健康保険に加入することになり、企業側が負担していたはずの費用を全て自分で支払うことになります。結果として、見かけの給与が高くても、手取り額は予想以上に減る可能性があります。
  • 労働法上の保護外: 雇用保険や労災保険の適用外となり、万が一の際のセーフティネットが薄くなります。

案件獲得における「商流」の深さと単価への影響

高還元率を実現するためには、企業はできるだけ高い単価の案件を獲得する必要があります。しかし、営業力や商流(顧客との直接的な取引関係)が弱い場合、間に何社も仲介会社が入る、いわゆる「多重下請け構造」になりがちです。

商流が深くなると、顧客が支払う単価から中間マージンが引かれていき、最終的にエンジニアに提示される単価が低くなってしまいます。還元率が高くても、元の単価が低ければ、結果として年収は伸びません。

後悔しないための高還元SES企業選びの判断基準

高還元率SESを選ぶ際は、「還元率」という数字だけに惑わされず、以下の3つのポイントで判断することが重要です。

チェックポイント1:待機期間の給与保証と条件

契約書や就業規則を確認し、待機期間が発生した場合の給与保証がどうなっているかを明確にしましょう。

  • 保証額: 待機期間中も満額支給されるのか、基本給の何割になるのか。
  • 期間: 待機期間が長期化した場合の対応(契約解除の有無など)。

チェックポイント2:福利厚生を自分で賄えるか(自己負担の計算)

高還元率で得られる年収増が、失う福利厚生や社会保障のコストを上回るか試算しましょう。特に家族がいる場合、社会保険料の自己負担増は大きな出費になります。

高還元率による収入増が、自分で健康保険、年金、退職金、教育費用などを計画的に積み立てることができるほどの余裕を生むかどうかが判断の分かれ目です。

チェックポイント3:キャリアパスと技術研鑽への投資

高還元率企業は、基本的に「即戦力」を求めています。そのため、企業があなたのキャリアパス実現のために、どのようなサポート(高単価案件の獲得支援、最新技術の導入、自社開発への移行可能性など)を提供してくれるのかを確認しましょう。

単に高い手取りを得るだけでなく、5年後、10年後の市場価値を高めるための環境があるかどうかが、長期的な年収アップの鍵となります。

【Q&A】SESの還元率に関するよくある質問

還元率90%や100%は存在するのか?

還元率90%以上を謳う企業は存在しますが、そのほとんどは「フルコミッション制の業務委託契約」であることが多いです。企業は紹介手数料のみを取り、社会保険や税金、待機リスクは全てエンジニアが負う形になります。正社員雇用で、企業が法定福利費を負担しながら90%を実現するのは、企業側の利益がほぼゼロになるため、現実的ではありません。

還元率が高いと税金が高くなるのか?

はい、その通りです。還元率が高くなることで、当然ながら給与(年収)が上がります。年収が上がれば、所得税や住民税の税率も上がり、社会保険料の負担も増えます。見かけの給与が高くても、税金・社会保険料が引かれた後の手取り額をシミュレーションすることが非常に重要です。

まとめ:還元率80%は手段であり、目的ではない

SES 還元率 80%は、高い年収を得るための非常に有効な「手段」です。しかし、これがあなたのキャリアの「目的」になってはいけません。

高還元率SESは、高い自己管理能力市場価値の高いスキルを持ち、福利厚生や待機リスクを自己責任で引き受ける覚悟があるエンジニアにとっては、年収を最大化できる最高の環境です。

一方で、安定性や教育制度を重視したいエンジニアにとっては、一般的なSES企業や事業会社の方が適している場合があります。

この記事で解説した実態とデメリットを理解し、ご自身のスキルレベル、ライフプラン、そしてキャリア目標に合わせて、最適な会社選びをしてください。

自分の市場価値と最適なSES企業を知る

「還元率80%の企業が自分に合っているのか?」「自分のスキルであれば、本当はどれくらいの単価で働けるのか?」

もし、高還元率SESへの転職を検討しているものの、リスクや手取り額について客観的な意見が欲しいと感じているなら、転職のプロであるエージェントに相談するのが最も確実です。

特に、高還元率SES企業に特化したエージェントは、各社の契約形態(正社員か業務委託か)、待機期間の保証内容、そして実際の商流の深さといった、求人票だけでは見えない実態を熟知しています。

あなたの現在のスキルと市場価値を正しく評価し、年収アップと安定性のバランスが取れた最適な企業を紹介してもらうために、まずは無料のキャリア相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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