SESとSIerの違いを徹底比較！年収・働き方・将来性を徹底解説

「SESとSIer、名前は似ているけど何が違うんだろう？」

「今の会社はSESだけど、SIerに転職した方がキャリアアップできるのかな？」

IT業界で働くエンジニアなら、一度はこんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。

両者はどちらもITシステム開発に関わる業態ですが、そのビジネスモデルや働き方、求められるスキルは大きく異なります。この違いを理解しないままキャリアを選択してしまうと、「思っていたのと違った…」と後悔につながる可能性も少なくありません。

この記事では、SESとSIerの根本的な違いから、年収、働き方、キャリアパス、将来性まで、若手エンジニアが本当に知りたいポイントを徹底的に比較・解説します。

この記事を読み終える頃には、あなた自身がどちらの働き方に向いているのかが明確になり、自信を持って次のキャリアステップを踏み出せるようになっているはずです。

まず結論！SESとSIerの最大の違いとは？

時間がない方のために、まず結論からお伝えします。

SESとSIerの最大の違いは、「契約形態」と「ビジネスモデル」です。

• SES (System Engineering Service): エンジニアの「労働力」を提供することが目的。クライアント企業にエンジニアを派遣し、その労働時間に対して報酬を得る。（準委任契約が主）
• SIer (System Integrator): システムやソフトウェアを「完成させること」が目的。クライアントからシステム開発を一括で請け負い、成果物を納品することで報酬を得る。（請負契約が主）

この根本的な違いが、これから解説する年収や働き方、キャリアパスなど、あらゆる側面に影響を与えます。まずは以下の比較表で全体像を掴んでみましょう。

【徹底比較】SESとSIer、8つの具体的な違い

それでは、先ほどの比較表の内容をさらに深掘りしていきましょう。それぞれの項目が、あなたのキャリアにどう影響するのかをイメージしながら読み進めてみてください。

1. ビジネスモデルと契約形態の違い

最も根本的な違いです。ここを理解することが、SESとSIerを理解する鍵となります。

• SES: 主に「準委任契約」を結びます。これは、エンジニアの技術力を「時間単位」で提供する契約です。SES企業は、エンジニアがクライアント先で働いた時間分の対価を受け取ります。システムの完成責任は負いません。
• SIer: 主に「請負契約」を結びます。これは、特定のシステムを「完成させること」を約束する契約です。SIerは、システムの仕様定義から開発、テスト、納品まで全ての責任を負い、完成した成果物に対して対価を受け取ります。

【ポイント】 SESは「人」を、SIerは「モノ（システム）」を売っている、とイメージすると分かりやすいでしょう。

2. 働き方・勤務地の違い

ビジネスモデルの違いは、日々の働き方に直結します。

• SES: 基本的に客先常駐となります。クライアント企業のオフィスに常駐し、その企業の社員と一緒に業務を進めます。プロジェクトが変わるたびに勤務地や人間関係が変わるのが特徴です。
• SIer: 自社内開発や、大規模プロジェクトの場合は専用のプロジェクトルームで働くことが多くなります。同じ会社のメンバーとチームを組んで開発を進めるのが一般的です。

3. 年収・給与水準の違い

一般的に、SIerの方がSESよりも年収水準は高い傾向にあります。これには「商流」が大きく関係しています。

IT業界には、発注元の企業から元請け、下請け、孫請け…と仕事が流れていく多重下請け構造があります。

• SIer: 大手SIerは元請け（プライムベンダー）として直接案件を受注することが多く、利益率が高いため、社員への給与も高くなる傾向があります。
• SES: 商流の深い（下請けや孫請け）案件を扱うことが多く、中間マージンが抜かれるため、エンジニアへの還元率が低くなりがちです。ただし、商流の浅い案件を扱う「優良SES」や、高いスキルを持つエンジニアであれば、高年収を得ることも可能です。

4. キャリアパスと身につくスキルの違い

どちらの業態で経験を積むかによって、築きやすいキャリアパスは異なります。

• SES: 様々な業界・規模のプロジェクトを短期間で経験できるため、幅広い技術スキルを身につけやすい環境です。特定の技術を極めるスペシャリストを目指す人や、色々な環境で経験を積みたい人に向いています。
• SIer: 大規模なシステム開発に上流工程（要件定義、設計など）から携わる機会が多く、プロジェクトマネジメント能力や顧客折衝能力が身につきやすいです。将来的にプロジェクトマネージャー（PM）やITコンサルタントを目指す人に向いています。

5. 仕事の責任範囲の違い

契約形態の違いは、仕事に対する責任の範囲にも影響します。

• SES: 契約上、システムの完成責任は負いません。あくまで定められた時間、業務を適切に遂行することが求められます。
• SIer: 契約で定められた納期までに、要求された品質のシステムを完成させる責任を負います。そのため、プロジェクトの進捗が遅れている場合は、残業が増えるなど大きなプレッシャーがかかることもあります。

6. 企業文化・帰属意識の違い

• SES: ほとんどの時間を客先で過ごすため、自社への帰属意識が薄れやすい傾向があります。会社のイベントや勉強会に積極的に参加しないと、自社の社員との繋がりが希薄になることもあります。
• SIer: 自社のメンバーとチームで働くため、一体感が生まれやすく、企業文化も醸成されやすいです。研修制度や福利厚生が充実している企業も多い傾向にあります。

7. 案件の選択肢

• SES: 営業担当者の力量にもよりますが、自分のスキルや希望に合った案件を選べる可能性があります。合わないプロジェクトであれば、契約期間満了時に別の案件に移ることも可能です。
• SIer: 基本的に会社が受注したプロジェクトにアサインされるため、自分で案件を選ぶことは難しいです。一度アサインされると、プロジェクトが終了するまで数年間同じ業務を続けることも珍しくありません。

8. 評価制度の違い

• SES: 評価者が普段の働きぶりを直接見ていないため、客先からの評価や、月に一度の面談、業務報告書などで評価されることが多くなります。自己アピールや報告・連絡・相談のスキルが重要になります。
• SIer: 同じ社内の上司や同僚が働きぶりを見ているため、日々の業務成果やチームへの貢献度が評価に繋がりやすいです。

メリット・デメリットで比較！あなたに合うのはどっち？

これまでの違いを踏まえ、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。自分の価値観やキャリアプランと照らし合わせてみましょう。

SESで働くメリット・デメリット

【メリット】

• 色々な会社の文化や技術に触れることができる
• 人間関係が合わなくてもプロジェクト単位でリセットできる
• 残業が比較的少ない傾向にある（契約時間に準ずるため）
• 未経験からでもIT業界に入りやすい

【デメリット】

• 給与が上がりにくい場合がある
• 自社への帰属意識を持ちにくい
• キャリアパスを自分で考える必要がある
• 案件によってはスキルアップに繋がらない単純作業ばかりになることも

SIerで働くメリット・デメリット

【メリット】

• 年収や福利厚生が安定していることが多い
• 大規模案件や上流工程に携われるチャンスがある
• 教育・研修制度が充実している
• プロジェクトマネジメントのスキルが身につく

【デメリット】

• 納期前のプレッシャーが大きく、激務になりがち
• 技術選定の自由度が低く、古い技術を使い続けることがある
• 一度配属されると、数年間同じプロジェクトから抜けられないことも
• 社内の人間関係が固定化しやすい

結局どっち？SES・SIerそれぞれに向いている人の特徴

最後に、これまでの比較を元に、それぞれどのような人が向いているのかをまとめます。

SESが向いている人

• とにかく色々な技術や環境を経験してみたい人
• 特定の分野のスペシャリストを目指したい人
• コミュニケーション能力に自信があり、新しい環境にすぐ馴染める人
• ワークライフバランスを重視したい人

SIerが向いている人

• 安定した環境で腰を据えて働きたい人
• 大規模なシステム開発で社会に貢献したい人
• 将来的にプロジェクトマネージャーなど管理職を目指したい人
• チームで一体感を持って仕事を進めたい人

よくある質問（Q&A）

Q1. 未経験からエンジニアになるなら、SESとSIerどっちがいいですか？

A1. どちらにも可能性がありますが、一般的にはSESの方が入社のハードルは低い傾向にあります。多くのSES企業が未経験者向けの研修制度を設けており、まずは簡単な業務から経験を積むことができます。ただし、入社後のキャリアをしっかりサポートしてくれる「優良SES」を選ぶことが非常に重要です。

Q2. SESからSIerへの転職は可能ですか？

A2. 可能です。 SESで様々なプロジェクトを経験し、特定の技術スキルや業務知識を身につけることで、それを武器にSIerへ転職するエンジニアは多くいます。特に、20代のうちに幅広い経験を積んでおくと、30代以降のキャリアの選択肢が広がります。

Q3. いわゆる「優良SES」企業の見分け方はありますか？

A3. いくつかポイントがあります。

• 商流が浅い案件（プライム案件や二次請けまで）を多く扱っているか
• エンジニアのキャリアプランを親身に考えてくれるか
• 給与の還元率が高いか（例: 70%以上など）
• 待機期間中も給与が支払われるか
• 不当な多重下請けを行っていないか

面接の際に、これらの点を逆質問してみるのがおすすめです。

まとめ：違いを理解し、自分に合ったキャリアを選ぼう

今回は、SESとSIerの違いについて、多角的に比較・解説しました。

• SES: エンジニアの「労働力」を提供し、客先常駐で働く。幅広い技術を経験しやすい。
• SIer: 「システムを完成」させることが目的で、自社開発が多い。上流工程やマネジメントスキルを磨きやすい。

どちらが良い・悪いということではありません。最も重要なのは、「あなたの理想のキャリアを実現するためには、どちらの環境がより適しているか」を見極めることです。

この記事が、あなたのキャリア選択の一助となれば幸いです。

職務経歴書の添削やキャリア相談はプロに任せるのも一つの手

「一通り違いは分かったけど、本当にこれで良いか客観的な意見が欲しい…」

「自分の市場価値が分からず、どんな企業に応募すれば良いか迷っている…」

もし一人で悩んでいるなら、転職のプロであるエージェントに相談するのも非常に有効な手段です。

特にIT業界に特化したエージェントは、採用担当者の視点を熟知しており、あなたの職務経歴書をより魅力的にするための具体的なアドバイスをくれます。

あなたの市場価値を正しく評価してくれる企業と出会うために、まずは無料相談から始めてみてはいかがでしょうか。

▶️ エンジニア向け転職エージェント・サイトおすすめ比較